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zoom RSS 入試問題を授業の教材に使うときに

<<   作成日時 : 2017/04/18 08:06   >>

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大学入試問題は、大学が求める学力(アドミッションポリシーの一部)を表明する手段です。受験生にどんな学力を身につけてきてもらいたいかが、そこには端的に表現されているはず。

高大接続改革を目の前に、既に出題の変化も始まっています。大学入試問題ウォッチをすることで、2020年以降の学びのあり方を捉えていくのも大切です。


❏ 出題研究は、教科観・学力観の更新機会

大学が求める学力をまずは知らなければならないのは、当たり前ですが、教えている先生ですよね。

生徒は、先生の指導についていく中、授業を受けたり考査問題を解いたりしながら、経験的・直感的に教科観や学力観を自らのうちに作り上げていきます。

生徒の側で、自分が身につけた学力観・教科観が妥当かどうか検証するのは極めて困難、そんなことができる生徒は多くありません。先生が正しい教科観・学力観を持っているかどうかがすべてと言えそうです。


❏ 出題研究の成果は、授業内課題の形で生徒に還元

毎年の出題研究を通じて、どんな学力を身につけることが期待されているか、認識を日々更新していく必要があるのだと思います。

出題研究を行っていると、授業中に課題として取り上げたい「良問」 も手元のストックに増えてきますよね。

授業中に取り上げれば、実際の問題を解く中で、生徒は「どんな学力が求められているのか」 を知ることになります。自らの教科観を検証する貴重な機会にもなりそうです。

しかしながら、良問と思って、そのままポンと印刷して配ってしまうとあらぬことが起きます。

大学入試問題を授業での教材に使うときは、問題の評価と教材としての最適化を図る必要があるということです。


❏ 出題ミスだってゼロではない

合否判定をやり直すような出題ミスも少なくありませんが、これらは大学側でもミスの存在を認識していますので、自校で作成する入試問題集や赤本などに提供する資料では既に修正しています。

(まれに別ルートから出回っているもので修正がなされていないものがありますので、注意が必要です。)

しかしながら、如上の「出題ミス」 まではいかないまでも、教材として使うには手直ししておいた方が良い問題も少なからず存在します。

難問がすべて悪問ではありませんが、解かせて生徒に戸惑いや迷いばかりを持たせるような部分が含まれていたら、そこはカットするか手直ししてから授業で使うべきかもしれません。

教材として用いるのにはちょっと、という問題にはいくつかパターンがあります。それぞれについて、仕立て直しの方法を考えてみたいと思います。


❏ あいまいな条件設定や情報の不足

出題が最小限、満たすべき要件は、問題文と「受験生が当然に所持を期待される知識」 だけで正解を一義に決められることです。

後者は、教科書に載っているかどうかが一つの基準です。

ちなみに、大学で入試問題を作るときは、いろんな学校でそれぞれ違った教科書を使って勉強してきた高校生が受験するだけに、メジャーな教科書に載っているからOKというわけにはいきません。複数の教科書を調べて典拠を書き出し、点検するという作業をします。

閑話休題。教室での教材にする場合に問題となるのは、「問題文に与えられた情報」 の不備や不足です。

問題が扱っている事象について、状況を左右しえる条件やパラメータが明記されていない場合(多くは、出題者が見落としています)もあり得ます。

そのような条件やパラメータは考慮しなくて良い、という但し書きを添えれば済むという問題ではありませんよね。場当たり的に過ぎる気がします。

生徒は、どんな場合はそれらを考慮すべきで、どんな場合は不要なのか判断がつかず、そこで生じた違和感がその科目を嫌いにする原因にもなります。


❏ 良問だが、現時点で挑ませるには知識量が足りない

難関大学を受験する高校生を想定するならよく練れた良問であっても、受験期を迎える前の生徒や、受験に使う必要のない生徒には、問題が要求する知識が多すぎる/細かすぎるというケースもあります。

この場合は、注釈をつけたり、設問を一部カットしたりする方法も広く採られているようですが、必要な情報を含む資料を提示し、生徒自身にその場で読ませ、調べさせた方がはるかに教育的ではないでしょうか。

そもそも、大学入試は、先に述べた通り、設問が与える情報と教科書や資料集に記載されている事柄から正解が一義に導ける(あるいは十分に考えることができる)ように作られています。

教科書レベルの文章を正確に読めない中高生がいるという研究が大きく話題に取り上げられました。

読めるようにさせたいのだから、きちんと読ませるべきであり、如上の場面は、知識の拡大を図らせるというよりも、教科書レベルの文章をきちんと読めるようにさせるための絶好の機会だと思いますが、如何でしょうか。

読書活動推進週間を設けて「書物に親しませる」 という取り組みより、よほど大きな効果が期待できそうな気がします。

なお、何らかの論点を取り上げ、賛否を表明したうえで、その根拠などを論述させるタイプの出題も増えつつあります。

そうした場合も、異なる立場から書かれた複数の文章を資料として与えれば、多様性や判断力を高める指導機会にもなり得るはずです。


❏ 問いが大きすぎて扱いきれないときは

問いが大き過ぎて、現時点の生徒には切り口が整理できない場合は、答えを導こうとさせる前に行う指導が重要です。

設問文を読み解きながら、ポイントを整理して、大きな問題をいくつかの小さな問題に分割するという工程を挟むこともその一つです。

論述に用いる用語をリストで示し、「いくつ以上使うこと」 という条件をもとの問題に加えるだけでも、視点を絞っていくことができます。

また、論点を内包する(=賛否が分かれる)問題であれば、説明を聞かせたり答えを作らせたりする前に、生徒同士のプレディスカッションを挟むことで、論点の整理をさせることもできます。

逆に、選択式の問題をもとに、問いの視点を広げて問題を大きく構えることもできます。

消去法でしか答えが選べないような選択問題なら、むしろ選択肢を取っ払って記述式の問題に仕立て直した方が良いことも少なくありません。



関連記事: こちらもお時間の許すときにご高覧いただければ光栄です。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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