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zoom RSS 進路意識形成について意識を質し、内省を促す

<<   作成日時 : 2017/04/12 06:06   >>

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前回、前々回と、進路希望調査を行うときに注意したいことや、学問の細分化と学際の拡大とで進路希望を作るのに文理選択から学部・学科を絞っていくというこれまでの手法に限界があることについて考えるところをまとめてみました。

改めて考える機会を持ってみて、進路希望を作ること自体が、以前に比べてとても難しくなっているのだと強く感じています。

進路希望を作り上げていく中で、踏むべきステップをきちんと踏んできたかを確かめる必要があります。 生徒自身に内省を促すためにも、アンケートによる調査は有効な手段になり得るのではないでしょうか。


❏ 興味を起点に、理解を深め広げる活動を経ているか

進路希望を具体化する入り口は、何かの興味を起点にして、それを深めて広げる「調べ」 であり、その中で学んでみたいことを具体的に見つけることです。

これらについては以下のような質問で尋ねてみるのは如何でしょうか。
  • 日頃、各教科の学習をしながら、もっと広くあるいはもっと深く知りたいと感じることがあるか。

  • そう感じたとき、自分で調べてみるなど、具体的に行動を起こしているか。

  • これまで経験した課題研究や調べ学習で、終わってから「もっと調べてみたい」と思ったものはあるか。
生徒自身も、訊かれたら答えようとする中、改めて考えたり振り返ったりする機会を得ますので、それまでの自分を反省したり、やるべきことに気づいたりできるという利点があります。

また、定期的に繰り返してアンケートを行うことで、生徒一人ひとりが、あるいはクラスや学年という集団が、このステージを通過しているかどうか、様子を把握することもできるのではないでしょうか。

ここで把握できたデータは、面談指導での資料にしたり、進路指導計画を見直す材料にもなるはずです。


❏ 興味の先には、学んだことを通じた社会との接点

何を学びたいかの先には、「学んだことを通じて社会とどのように関わるか」 に自分なりの答えを作らせなければなりません。

となれば、社会がどのように変化して、どのような課題を抱えているかに関心を向ける必要もありますよね。

現段階で社会の動向をどのくらい知っているかも大事ですが、それ以上に現時点で「知るための行動」 を起こしているかどうかに着目して生徒を見守るべきだと考えます。

これまでの貯金でどれだけ多くを知っていても、それだけでは不十分。今もなお、広くアンテナを広げ、自分を取り巻く世界に関心を寄せているかどうかは、その生徒の「社会に関わる意識と姿勢」 を示します。
  • 社会が抱える様々な課題や科学技術の進歩、学問の先端などにどのような形で関心を向けているか。
回答の取り方は、新聞、書籍や専門誌、ニュースや報道番組といった「社会を覗く窓/チャンネル」をいくつか挙げておき、それぞれの利用頻度を尋ねる形でしょうか。 これならば、生徒も答えに窮することは少ないはずです。

また、その結果、何か具体的な関心が生まれているかどうかも、尋ねる角度を変えて確かめてみたいところです。
  • 社会や世界の諸問題、学問や先端研究、文化・芸術などで、特に関心を持っていることはあるか。

  • 自分の将来を考えるときの参考として、どんな人の話を聞いてみたいですか。
社会を覗く窓の利用状況との間でクロス集計をしてみれば、マトリクスの中に生徒一人ひとりをプロットできます。

これにより、どの段階で立ち止まっているのかも推定しやすくなるとともに、集団(クラス・学年)としての特性も捉えられます。


❏ 興味が広がる世界と、学問との繋がりを探る部分は?

せっかく興味を持っても、それを学ぶのに好適な場所(≒学部・学科とそれを設置する大学)を知らないことには、進路希望が具体的な形を伴いません。

前稿で書いた通り、学科名で検索してみたところで、「自分が学ぶべき場所」 を探し当てる保証はなく、ここでも違った角度から様子を探りたいところです。
  • それらを詳しく学ぶとしたら、どんな学部や学科に進むのが最も良いか調べたか/わかっているか。
この質問にNOと答えざるを得なかった生徒には、面談などの対話を通じ、YESと答えられるようになる方法を一緒に考えていけば良いのではないでしょうか。

YESと答えた生徒には、どう調べてどんな結論を得たのか面談のときに詳しく聞いてみたいところです。その上で、以下のような問いもぶつけてみましょう。
  • それらを学ぶ人々が、どんな研究を行い、社会にどう貢献しようとしているか調べたことはあるか。

  • 大学に進んで深く学んでみたいことは何かと問われたら、理由を添えて具体的に答えられるか。

  • 興味を感じた職業や活動が、どんな能力や資質を必要としているか調べたことはあるか。

  • それらに携わっている人々が、どんな使命感を持ち、またどんな苦労を抱えているか想像できるか。
これらにYESを揃えれば、志望理由書や「学びの設計書」 もきちんと書けるはずです。


❏ 踏むべき手順をきちんと踏めば、実現への意欲も高まる

社会の急速な変化、学問の細分化、学際の拡大などにより、進路意識を形成する環境も大きく変わってきています。

生徒が選んだものを聞き取って「そうか、わかった。 頑張れ、応援するぞ」 では、もはや用をなさなくなってきているのではないでしょうか。

進路意識を形成する過程において、適切な段階を踏んだか、調べるべきこと/考えるべきことを落としていないかを確かめることに、これからの進路指導の課題の一つがあるのではないかと考えます。

きちんと手順を踏んで作り上げた進路希望であれば、その実現にむけて多少の困難があったとしても、それを乗り越えて希望を実現しようとする動機が勝り、挫けたり諦めたりすることも少なくなるはずです。

大学に入ってから目的を見失ってしまうことも減るのではないかと考えます。

 ■ 大学に進んでから燃え尽きさせないために
 ■ 進学前に改めて考えさせたい、大学で学ぶことの意味


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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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