建学の精神/教育目標に照らした行動評価

学校には建学の精神や教育目標がありますが、生徒一人ひとりが自身の行動の中にどのくらい実現できたかは、教育活動の成果を測り、改善に向けた計画を立てる上でも欠かせないことの一つです。


❏ 教育目標から「生徒に期待する行動」を書き出す

建学の精神や教育目標の実現の達成度を測ろうとしたとき、最初の仕事は、それらを達成したとき生徒にどのような行動が見られるのかを書き出すことです。

生徒に期待する具体的な行動が言語化されていれば、それに照らした行動観察で、期待を充足する行動の発生頻度を定量的に把握できますし、その高まりをもって教育目標の実現/建学の精神への接近を測ることもできるはずです。

しかしながら、教育目標は、形成すべき人格に短い表現を与えていることが多く、文言から読み取る「生徒に期待する行動」 は読む人によって様々。ときにはまったく違う側面を見ていることもあります。

指導に当たる先生方が、それぞれの立場から解釈したことを持ち寄って、すり合わせをする必要もあるのではないでしょうか。

分掌、教科、学年といった様々な立場で設定する指導目標は、上位にある学校の教育目的を達成するために置くものですから、如上の仕事を飛ばしては、組織・個人の仕事が設計できないことになります。


❏ 期待する行動を生徒にきちんと、繰り返し伝える

先生方がイメージを共有したとしても、それが生徒に伝わっていないことには建学の精神の具現や教育目標の達成に向けた努力は引き出せません。

学校ホームページなどでは、それらの内容をより具体的にイメージできるよう、説明が加えられているケースが大半ですが、あまり読まれていないような気がします。

実際に、学校を訪ねて生徒に「教育目標に掲げられている、〇〇〇ってどういうこと?」 と聞いても、きちんとした答えが多くの生徒から戻ってくるのは稀です。

以前の記事 「教育目標や指導方針をちゃんと伝える」 でも書きましたが、このあたりを疎かにすると、いろいろな弊害が出てきます。

学校評価アンケートなどで、「建学の精神/教育目標の実現」 に関する生徒の自己認識や保護者の捉え方を調べるときに、その弊害が顕在化することがあります。

どんなことを目指しているか、何をもって成否を判断するのかを予め理解させておかないと、訊かれた側も答えようがありませんよね。

ちょうど、新年度から1月余りがたち、学校生活も落ち着いてきた頃です。建学の精神をどこまで生徒が言語化できるか、試してみても良いかもしれません。


❏ 学校評価アンケートに質問を組み込む

先生方の眼を通した「行動観察に基づく評価」 に加えて、アンケートを通じて生徒の自己認識も確かめてみる必要があります。

生徒の自己評価と先生方が下す外からの評価は必ずしも一致しません。

生徒の自己評価(アンケートなどによる)では、期待する行動を十分に満たしているとの認識が示されながら、先生方の眼からは不十分という場合なら、「どんな行動をが期待されているか」 をきちんと伝え直す必要があるはずです。

逆に、先生方の眼からは十分なのに、生徒側ので自己評価が低い場合は、「学校生活を通じてできるようになってきたこと」 を認識させることで、もう一歩先を目指す意欲も引き出せるのではないでしょうか。


❏ 訊ねてみるだけでも行動改善が期待できる

アンケートで訊ねること自体にも、教育効果は期待できます。

アンケートに答えようとすれば、自ずとそれまでの自分の行動を振り返ることになるからです。

内省の機会を得て、足りないものに気づき、次に向けてどうしようと考えた場合と、そうした機会を持たずに日々を過ごす場合とでは違いが生じます。

学校評価アンケートや授業評価に付随して行う「生徒意識アンケート」 では、こうした項目も組み込んだ質問設計を検討したいものです。

また、建学の精神や教育目標に教室で言及する機会はあまりないのが現実かもしれませんが、様々な指導機会で触れることで、生徒が自分の行動を振り返るときの「基準」 にできてこそ、その実現に接近を測らせることができるのだと考えます。



■ご参考記事:
 学校評価アンケートの質問設計

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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