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zoom RSS 合格体験記は誰に書かせるか

<<   作成日時 : 2017/05/12 07:52   >>

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進路の手引きや進路通信に掲載する合格体験記は、誰に書いてもらうかで、後輩に伝わるメッセージはずいぶん違ったものになります。記載されている内容以上に言外に伝わるものの影響が大きいことを踏まえ、誰に何を書いてもらうか細心の注意を払って戦略的に考える必要があるのではないでしょうか。


❏ 難関を突破したという事実だけでなく

進路希望を高く持ち、努力を続けて難関を突破した生徒は立派ですが、その事実だけでは、後輩に送るメッセージとしては物足りないものがあります。

極端な想定で恐縮ですが、同じ大学に合格した生徒に、
  • その大学・学部を志した理由、大学で学びたいことをしっかり持ち、ビハインドを跳ね返して希望をかなえた生徒

  • もともと成績優秀で、「自分の成績で受かりそうな大学で一番偏差値が高い大学を選んだ」 というだけの生徒
の二人がいたとして、合格体験記を書いてもらいたいのは前者ですよね。

部活動でなかなか時間が取れないなか、何とか工夫して学習時間を捻出していた生徒であれば、その辺りにフォーカスした記事を書いてもらえば、後輩たちも受け取るものが大きいはず。

いずれも、その生徒が進路希望を実現するまで見守ってきた先生方の眼には、後輩たちに伝えて欲しいものがはっきりしているのではないでしょうか。

合格という結果だけでなく、そこに至るプロセスで、誰に書いてもらうかを考えるべきだと思います。


❏ 先行逃げ切りタイプ、追い上げ逆転タイプ、…

早いうちから学習の方法と習慣を確立して頑張り切ったいわゆる優等生タイプも模範になるでしょうが、目指すものを見つけてから猛然と頑張り、追い上げを決めた生徒の話も後輩には励ましになりますよね。

ある学校では、センター試験の本番の点数と、その1年前に受験した模試の成績で散布図を作り、近似線を大きく超えた位置にいる生徒を選びだして合格体験記を起こしたそうです。

受験では「先行逃げ切りができる生徒が一番強い」 のも事実という気もしますが、そんな生徒の体験談ばかりでは、出遅れを感じている後輩にはあまり参考にならず、下手をすれば気持ちをくじくことにもなりかねません。

生徒に起草を任せるのではなく、進路部でインタビューを行い、「後輩に伝えるメッセージ」 を編んだとのお話を伺い、目から鱗でした。


❏ 記事を書いてもらう前にやるべきこと

合格体験記を書いてもらう生徒が決まったら、原稿用紙を渡すだけでなく、面談の機会をもって受験生活を振り返ってもらうのは好適だと思います。

本人ですら、何がきっかけで頑張れたのか、どんな工夫で努力が継続できたのかを正しく認識しているとは限らず、後輩に伝えるべきメッセージが紙面に盛られないことだってあり得ます。

先生方との対話の中で、ポジティブな振り返りができれば、本人にとってもこれからの学業生活・社会生活を送る上で大きな財産になるかもしれません。

もしかしたら本人の好きに書かせたら、如上の追い上げ・差し切り型の生徒も、「1年生のうちは成績は気にしなくてよい」 みたいな手記を残してくれちゃうかもしれませんよね。


❏ 校是たる指導像に合わせた起草者選定を

指定校推薦ではなく、一般入試で最後まで頑張ることを推奨するのであれば、合格体験記に載せる記事にもそうした生徒のものを多めにしたり、目につきやすい場所に置いたりするべきだと思います。

「指定校推薦に流れる生徒ばかりであったのが、ここ数年は一般入試で合格を勝ち取る生徒が増えてきた」 と、生徒の変化を喜んでおられる学校でも、AO、公募、指定校といった推薦入試での合格者の記事ばかりということがあります。

戦略なく、無作為に選んでしまったことが疑われます。

変化が起こり始めて間もなくであれば、実合格者の割合としては、推薦組の方が多いのも当然ですが、そこには「後輩に伝えるメッセージ」 としての戦略的な選択・配分が必要ではないでしょうか。

推薦入試がどのように行われるのかを後輩に伝える目的なら、ファイルに閉じて進路相談室で閲覧できるようにしておけばよいはずです。

進路の手引きや進路通信は、指導の材料である以上、校内で共有された指導方針/こだわりに沿って編集すべきだと思います。



追記: 具体的な勉強法などは、先生方が授業を通して伝得るべきもの。志望校合格という結果があろうとも、一個人の経験則を活字にして後輩の目の前に固定したときのリスクも勘案すべきです。


>このシリーズのインデックス「先輩の経験から間接的に学ぶ機会」へ


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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