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zoom RSS 不要な苦手意識を抱かせない

<<   作成日時 : 2017/08/21 07:42   >>

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授業を通して学力の向上や自分の進歩を十分に感じ取っているのに、その科目が得意か苦手かと訊かれると「苦手」 だと答える生徒が思いのほか多くいます。

苦手意識を抱えたままだと、与えられたことを超えて積極的に挑もうとする意欲を見せなかったり、少しでもわからないことがあるとそこで立ち止まってしまったりします。

不要な苦手意識は持たせないようにしたいところですよね。


❏ 難易度や学力向上感との相関

授業の内容や教材が難しかったり、自分が伸びている実感に乏しかったりすれば、苦手意識を感じるようになるというのは、直感的に予測できますし、実際にデータでもその傾向は見て取れますが、個々のケースを見ると、そうとばかりは限らないようです。

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難易度を下げて「易しい」と答えさせれば、苦手と答える生徒を減らせる可能性は十分ですが、「作戦失敗」というケースもかなり残ります。

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学力の向上や自分の進歩を実感すると答えても、必ずしも得意と答える生徒ばかりではなく、「確実に」というわけではなさそうです。

 ■ 難易度からの得意・苦手の意識が受ける影響
 ■ 学力向上感、得意・苦手に成績が及ぼす影響は?


❏ 苦手意識の原因は様々ですが…

過去の体験で科目に対する自己有能感を失っている場合もありますが、この場合であれば、「できるようになった経験」を重ねさせて自己認識を上書きしていけば良いので、対策は比較的容易です。

一方で、「できるようになってきている/教材が難しいとも思わない」のに苦手意識が前面に出ているケースは、如上の作戦だけでは十分な改善効果は見込めなさそうです。

この場合の理由は、
  • 「何をしようとしているのかわからない」(部分理解が全体理解に結び付かない)
  • 「わからないことを自力で解消する方法が獲得できていない」(学習方策への未習熟)
のいずれかが大半のようです。

他の理由も混在しますが、まずはこの2つの解消を図ってから、個々の生徒の意識変化を見守りましょう。


❏ 部分は理解できても、全体像の中で捉えられない

先生が説明してくれたり、友達に教えてもらったりして、ひとつひとつは不明を残さず理解できたとしても、全体像の中で個々の理解を位置づけできないこともあります。

こうした場合、解き方を辿り直しながら思考のプロセスや判断の根拠、解法選択の理由などを言語化させることが有効な対策のひとつになり得ます。

辿り直しには板書がきちんと残っていることが前提です。「まとまりがあり、後で読んで解を導くプロセスを再現できるような板書」 が実現していないと、如上の辿り直しもうまく行えません。

新共通テストのモデル問題(国語、数学)にみる通り、高大接続改革では「協働での課題解決場面」を想定した「自分の考えを相手に伝え、理解と共感/賛同を引き出す力」が試されるようになるため、如上のアプローチは2020年を見越した対策にもなりそうです。

国語や数学に限らず、様々な科目でそうした場面を増やしていく必要があるとお考え下さい。


❏ わからないことを自力で解消する方法が未獲得

後者の場合、「丁寧に教えて正解まで導く」という手法には自ずと限界があります。

普段から意識して、解き方の考案にも挑ませましょう。

また、教え合いを通じて互いの発想や知識の交換を促し、思考プロセスの言語化機会を増やすことで「そういうことなのか」と気づく体験を重ねていけば、学びへの自己効力感も高まってきます。

 ■活動性を高めて苦手意識を抑える


❏ 集団としての調和に終わらない

但し、グループワークなどで問題解決を進めるだけでは、まわりに助けられただけの生徒、"フリーライダー"の出現を防ぎきれません。

課題の解決に能動的に関わらなかった生徒は、他の生徒が導き出した解法を真似て、正解を得られるようになっただけです。

自力で考えだすというプロセスを重ねていないため、いざ、自分一人で何かしようとしたとき手も頭も動かなかったとしても、それは当たり前ではないでしょうか。

相談の中で何となく答えが出たことに「座り悪い」ものを感じることもあるようです。

いずれの場合も、「学び方、取り組み方がわかっている/この科目を勉強していく自身がある」(≒得意と自認できる)という状態に近づくのは難しそうです。

教え合いで「集団としての達成」 を容易にするだけでなく、一人でじっくり考え、答案に仕上げさせる場をしっかりと整えていくことが大切なのではないでしょうか。

 ■ 協働学習を"集団としての調和"で終わらせない


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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