質問を引き出す(続編)

一年ほど前に、「質問を引き出す~学びを深め、広げるために」と題する記事をこのブログで公開しました。内容はこんな感じです。

質問をするということは、まず疑問点や「その先を覗きたい箇所」 を探すことになりますよね。当然ながら、ノートや教科書、プリントを見返すことになります。

しかも、そこに載っていることを覚えるという意識ではなく、疑問や興味を探しながらというおまけ付きです。

生徒からの質問があれば受けるというのではなく、もっと積極的に「質問をさせる/質問を作らせる」 という発想でその手段を考えたいものです。


本日の記事は、この続きというか、補足というか。上記の記事と併せてご高覧いただければ幸甚です。


❏ 質問をさせることの効果

単元の学習や毎回の授業を終える場面で、生徒に学習した範囲から問いを起こさせるようにすると、学習したことを俯瞰させることになりますので、その日の学びに大きな深まりや広がりが期待できます。

質問を探そうとすれば、自ずとノートや教科書、プリントを見返すことになりますので、再記銘の機会も作れ、定着も促されるはずです。

テスト準備で「覚える」という意識中心で見返す場合と異なり、疑問や興味を探しながら行う如上の場面では、より深い思考も引き出せるのではないでしょうか。


❏ ひとりの疑問を起点に全員の学びを広げ、深める

授業が終わってから、生徒が職員室を質問に訪れてくれるのはうれしいものですが、クラス全体の学びを考えると、ちょっともったいないような気がします。

その生徒の疑問は解消してあげられますし、やり取りの中で新たな興味を持ってくれれば、やがては進路希望にも繋がっていくかもしれませんが、その恩恵にあずかるのは、尋ねてきてくれた生徒だけです。

これに対して、教室の中で質問を起こさせる場を作れば、ひとりの疑問を起点にクラス全体の学びを押し広げることもできますし、相互啓発の場としても機能します。

職員室まで来てくれた生徒の質問や、リフレクションシートに書き留められた疑問を、如何にしてクラス全体の学びにつなげるかは、常に意識して知恵を使いたいところです。


❏ リフレクションシートで寄せられた質問には教室に戻す

リフレクションシートなどに記載された質問や疑問に対し、丁寧にコメントを返す先生もいらっしゃいます。

生徒とのコミュニケーションも取れ、信頼関係の構築にも寄与するものと拝察しますが、実際にはお手間も半端なものではないはずです。

リフレクションシートに生徒が記述した質問のうち、他の学生にも考えさせたいものは、個々に返すのではなく、次の授業で時間を取って学生同士でディスカッションをさせてみるのはどうでしょうか。

先生が個別に答えを示すのでは、「覚えることがまた増えた」となりかねませんが、生徒同士が話し合って答えを見つけた/作り出したのであれば充足感も覚えるはす。解決を通して得るものも小さくありません。


❏ 個々に答えれば良い質問は、まず調べさせる

如上の「教室に戻すべき質問」 以外は、個別に答えることになりますが、疑問に対する答えを与えるだけでは、生徒の「調べる力、考える力」を養う機会を損なう可能性はないでしょうか。

教科書や副教材、これまでに配ったプリント、図書館に備えてある蔵書など、生徒がアクセスできる範囲に答えがあるなら、まずはその参照箇所を示して調べさせることを優先すべきでないかと考えます。

ろくに調べもせずに、答えが与えられるのを当然と考えさせてしまうことに、あまり良いものは感じません。

教わって疑問が解消できたことと、自力で調べて解明したこととでは、そこに得られる達成感や充足感も違うのではないでしょうか。


❏ ICTの活用が進む中、シェアやリンクも上手に使いたい

以前ならば、生徒が紙に書いてきた質問も、生徒が持っているタブレットから、テクストデータや画像として届くことも増えてきています。

これを利用すれば、一人の質問を教室のメンバーとシェアするときの手間も大きく減りますよね。匿名で処理するのも簡単です。

参照箇所を示して生徒に調べさせるときの指示も、クラスの中でシェアすれば、質問をしなかったけど同じ疑問を持っていた(あるいは質問に触れて、疑問があったことに初めて気づいた)生徒にも有益な情報を届けられます。

ICTの進歩と普及は、質問への答え方も変えていきそうです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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