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zoom RSS 導入フェイズの目的と方法

<<   作成日時 : 2017/09/27 05:25   >>

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授業の冒頭や新しい単元に入るときに行う「導入」ですが、そこでの目的には何があるかをはっきりさせておかないと、工夫して作り上げた方法が目的にかなっているか/成果を挙げているかの判断がつかなくなってしまいます。

導入フェイズを終えて達成しておくべきことを思いつくままに挙げてみると、次のようなことがらでしょうか。
  1. 本時の学習を通じて達成すべき目標を生徒に認識させる
  2. 生徒一人ひとりに学ぶことへの自分の理由を作らせる
  3. 本時の学習が前提とする知識や理解を確保する

❏ 解くべき課題を示して、学習目標を認識させる

1.については、以前の記事でデータで示した「生徒は解くべき課題を通じて学習目標を認識する」というメカニズムを利用するのが最適です。

本時の学びを俯瞰するようなターゲット設問をきちんと用意しておき、生徒に示すことが必要です。

どのような問いをターゲットに設定すべきかは、先日の記事の通り、出題研究を通して"問い方"を学ぶことが肝要です。

単元名だけ示したところで、これから学ぶ生徒にとっては何を学ぶかも、何ができるようになれば目標を到達したことになるのかも判別がつきません。具体的な問い/課題こそが手掛かりです。

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❏ 目標状態に、成否判定可能な表現を与えておく

学習を通じて目指すべき到達状態を示す方法には、「答えを導くべき問い」を提示することの外にも、知識活用の機会を生徒が認識できないときでご提案した、完成像をイメージさせその構成要素をチェックリストとしてピックアップ/整理させてみるというやり方もあります。

優れた作品やパフォーマンスを見せ、そこに非言語的に表現されているものを、成否の点検が可能な言語の形式に転換させるということです。

また、取り組み方や学びの場でのふるまい方の説明を聞かせながら、生徒自身にセルフチェック用のリストを書き上げさせておくというやり方もありそうです。

ルーブリックなどに記載された評価規準に照らした自己評価をさせることで、次に向けた課題形成をさせていくこともできるはずです。振り返りは、学びの仕上げや反省ではなく、次へのスタートと考えた方が建設的だと思います。

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❏ 不明の所在に気付き、それを解消したいと思うこと

2.については、疑問が生じてそれを解消したいと感じたり、眼前の問いに答えを導きたいと感じたりすることが、最も原初的な「学ぶことへの自分の理由」のひとつになり得ます。

いかに精緻にデザインされた指導計画でも、他人が作った計画に乗っかることに生徒は自分の理由を持てるとは限りません。

不明の所在に気付き、それを解消したいという欲求を持たせ、どんな仕組みが働き、どのようになっていくのか知りたいと思わせてこそ、主体的で積極的な学びに向かわせることができるはずです。

そのために最も効果的なのは問いを与えて考えさせることですが、問いを提示しただけでは不明の所在に気付かせることはできず、知りたいという欲求を刺激することもできません。

問いを与えたら、その時点で導ける仮の答えを作らせ、それを言語化させることが肝要です。

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❏ 賛否が分かれる論点でのディスカッション

他の生徒の発言などに触れて、それまでの自分が気づかずにいたことを知ることは、知らなかった世界の広がりを知ることでもあるのではないでしょうか。

賛否が分かれるお題について、学びの前のプレ討論を挟むことで、問題意識が刺激され、学びへの意欲が増進することも少なくありません。

多様な意見があることを知り、それを受け入れる姿勢を持つことは多様性の獲得に他なりませんし、それらを踏まえた上で自分なりの判断の軸をもつことは主体性獲得への第一歩です。

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❏ 既習内容の定着を確かめ、土台となる知識・理解を固める

本時の学びを進めようとするとき、前提となる知識が欠落していては、考えを広げることも、新しい理解を積み上げていくこともできません。

既習単元の内容をしっかり理解しているかどうかを導入フェイズで確かめる必要があるのはこのためです。

一度教えたことを教え直す方法は、導入時の復習には不向きです。時間をかけ過ぎては本時の学びに投じる時間が減りますし、簡単に扱っただけでは十分な理解を再形成する見込みも立たないはずです。

問い掛けて、教科書やノートの該当ページを開かせることが最も効果的な方法のひとつです。

問われて、「あれ?どこで勉強したかな?」と記憶を辿って教科書・ノートの該当ページを開けば、そこには周辺を含めて必要な事柄がすべて揃っています。

仮にその単元で理解したことの記憶が欠け落ちていても、該当ページを開きっぱなしにしておけば、本時の学びの前提はそこに確保されていることになります。

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せっかくの導入の工夫も、もたもたしては、その間に生徒は退屈してしまいます。いかに円滑に学びの本題に入っていくかも常に意識したい授業デザイン上の課題です。「チャイムから生徒が活動を始めるまで何分かかる?」も、より良い授業実践に欠かせない視点のひとつです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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