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zoom RSS 非言語情報を言語化する力

<<   作成日時 : 2017/09/28 05:20   >>

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与えられたテクストから読み取った情報をもとに思考した結果を表現する力は、今後ますます求められますが、ここでいうテクストは「言語情報」だけではありません。グラフ、データテーブルなどの数値をもとにしたものもあれば、イラストや地図といった平面上に表現されるものなどあらゆるものが含まれます。

各教科の教科書を見ても、本文以外のパートから得られる情報は膨大なものであり、それらの非言語情報をハンドリングし、他者と共有したり/思考したりするために言語化する力をどう養っていくかは、今後の教室での大きな課題ではないでしょうか。


❏ データを読む力、グラフからメカニズムを探る力

グラフを読み状況を把握し、そこから導かれる帰結や仮説を論じるといったタイプの問題は、既に地歴公民や理科では一般的ですが、課題研究や探究活動のベースとしてもこれまで以上に重要性を高めるものと思われます。

合教科型・合科目型学力と言っても、新しいパーツを加えていくのではなく、各教科で学んだことを他の領域にも拡張して活用できるようにしていくという戦略を取れば、限られた授業時間をはみ出すものは少なく抑えられるのではないでしょうか。


❏ 読み解く工程を不用意に肩代わりしない

グラフやデータテーブルから必要な情報やストーリーを読み取る力は、生徒が実際にやってみないことには身につきません。

先生が先回りして解説してしまっては、貴重な学びの機会を生徒から奪ってしまうことになります。

教科書や資料集にグラフやデータテーブルが出てきたら、それを読むことを求めましょう。

このグラフから何が読み取れるか、という問いを発して考えさせたら、読み取ったこと考えたことを言葉にさせるということです。

発言がなかなか出ない/思考が膨らまないときは、隣同士で話し合わせて、頭の中を整理させてみるのも好適です。

しかしながら、いつも周囲と相談するパターンばかりでは、自発的に意見を作ったり、自分で考えたりする姿勢を弱めることもあります。協働学習を"集団としての調和"で終わらせないことにも注意が必要です。


❏ いわゆる芸術に含まれる領域でも

音楽、美術、書道などでも、作品鑑賞を導入フェイズに採り入れて、効果を上げている事例があります。

例えば書道では、同じ文字を題材にした、複数の書家の作品を並べて見せて、その特徴を言葉で説明させたり、どちらが好きかを表明させて、その理由を言わせたりしてみることで、漠然と眺めているときと全く違った認識が生徒のうちに生まれるようです。

自分で作品作りに取り掛かる段階では、どんなことに気を付けるべきか、自分の表現したいものがどのような手法で形にできるかを意識するようになっている生徒が多く見られました。

先生が、意気揚々と作品のすばらしさを語っても伝えられない部分を補ってくれる方法のひとつであると感じました。

得意とする生徒は感覚的に捉えることができても、苦手とする生徒は取っ掛かりが全くない状態かも知れません。

そのまま放っておくよりはるかに積極的な授業参加・取り組みが期待でき、その中で芸術科目の面白さに気付いてくれれば、次のステージに進むこともできるのではないでしょうか。


❏ 言語化は、共有と検証の前提条件

言語化されていない情報は、他者と共有することも、客観的に達成を検証することもできません。

教室の中には、如上の事柄以外にも言語化を試みるべき事柄がありそうです。言語化することを自己目的化しては無駄が増えるばかりですが、必要な場面ではきっちりと行わせたいことだと思います。

  • 行間を読む/背景に隠された事情を思い描く
    同じテーマについて異なる立場から書かれた論説Aと論説Bを読んで、主張の違いだけを比べても、両者が共存可能な落としどころを見つけるのは難しそうです。論説Aを書いた人はなぜそこにこだわり、論説Bの筆者は別の部分に重きを置いた意見を展開しているのかを知ってこそ、双方の理解と共感を得る解決策を提案できるはずです。

  • 学びへの取り組み方
    協働学習への参加の仕方や、予習・復習への取り組み方、わからないことがあったときに取るべき行動なども、生徒自身に言語化させてみることで、自発的な行動や目的意識をもった取組に繋がるのではないでしょうか。
    cf. 自己評価、相互評価を行わせるときの工夫

  • 練習場面での到達目標
    練習を通じてできるようになるべきこと、チームへの貢献の仕方といった「目指すべき到達状態」 を、評価規準のような形で示しておけば、生徒は求められる行動を具体的に認識できますし、練習後には生徒自身が達成を検証する際にチェックリストとして活用することもできるはずです。
    cf. チェックリストを用いた目標提示と達成検証

  • 答案が満たすべき要件(採点基準)
    良いところと改めるべきところを併せ持った答案を選び、板書やプロジェクタで生徒全員に見せながら、朱入れをしていきましょう。生徒に問い掛け、改めるべき箇所に気づかせ、なぜ好ましくないのか理由を考えさせなければ、生徒自身ができるようにはなりません。cf. 表現力を高める指導


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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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