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<<   作成日時 : 2019/01/21 05:55   >>

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同じ教材を使って同じように教えているのに、アンケートでの生徒からの反応がクラスごとに大きく違うことは珍しくありません。回答分布の違いを把握してクラスの特性に応じた調整をこまめに行っていくのも、模試や考査での成績データや授業評価アンケートの結果を有効に活かす重要な場面のひとつです。

2017/10/06 公開の記事をアップデートしました。


❏ 学習履歴によってレディネスの違いが生じる

生徒は、それまで自分が受けてきた様々な授業の中で、学習観を作り、それに応じた学習方策を身につけてきています。

自分の学び方を、教えてくれる先生のやり方に合わせて、無意識のうちにアジャストしてきたとも言えます。

また、学習を通じて積み重ねてきた成功体験、特に不明が生じたときに自力で克服した体験の量により、負荷耐性も異なります。

様々な背景や学習履歴をもった生徒が構成するクラスでは、集団としての特性も異なる以上、教え方・学ばせ方というインプットが同じであっても、それに対する反応/アウトプットが異なるのは当然のことです。


❏ クラスごとの違いをみてアジャストを図る

結果学力だけ見てクラスを分けてみたところで、学習方策の獲得状況や負荷耐性をどこまで身につけているかはわかりません。

授業評価アンケートなどを用いて、集団としての特性を把握し、それぞれに応じてアジャストを図ること(=調整を行うこと)が大切ではないでしょうか。

クラスごとの回答分布を比べ、あるいは過年度の生徒との回答分布との比較を行う中で、集団としての特性を把握しているかどうかは、授業の成否を分ける大きな要素です。

 ■ 授業評価アンケートを行うときの最小要件


❏ 学習目標の提示法でもアレンジが必要

例えば、同じように学習目標を示しているつもりなのに、「先生は学習目標や取り組み上のポイントをきちんと示してくれる」という問いへの回答分布はクラスによって大なり小なり異なります。

解くべき課題を導入フェイズで示すだけでうまく行くクラスもあれば、少し考えさせただけでは十分な効果が上がらず、改めて先生の側で目標を言語化して見せる必要があることもあります。

教え方・学ばせ方には、外せない「鉄則」もあれば、学習者の集団としての特性によって左右される部分もあると考えるのが好適です。


❏ 比較ができないような集計法は改めるべき

校内で授業評価アンケートを行っている学校でも、クラス間の比較ができない集計方式を採っているケースがあります。

この場合、如上の「集団の特性に合わせた調整」を行うための判断材料が用意できないということではないでしょうか。

その科目についての得意・苦手意識の分布も把握しておかないと、どこまで負荷をかけて良いのかの判断もつきません。

一つ上の学年の1年前との比較も必要です。両者に大きな違いがあれば、同じ設計の指導計画では生徒の実情に合った授業にはなりません。

もし、現状での集計方法がクラス間、学年間の比較を行えないようなら、早期に改修を図るべきです。


❏ 得意・苦手の意識は定点観測しておく

得意・苦手の分布と、課題の難易度の感じ取り組方も、クラスごとの違いを把握しておくべきことの一つです。

別稿「しっかり負荷をかけてこそ学びに十分な手応えが」でも書いた通り、得意とする生徒が多いクラスで負荷が足りないと、生徒は伸びている実感を欠き、生まれるはずだった興味の発現が妨げられることも少なくありません。

また、得意・苦手の意識は、学びの成果のたな卸しが進んだり、課題解決における達成感の積み上げで変化してくるため、定期的に状況を把握しないと、調整のタイミングを逸するリスクも抱えます。

同じ集団が同じ科目を学んでいる当該年度の中で、幾度か定点観測を行えば得意と答える生徒の増加も把握できます。

これに照らして、どのような指導が科目への自己肯定感を高めることに繋がるか、知見を蓄積することもできるはずです。


❏ 直感での予想と実際の回答の違いから学べること

教えているときの手応えや直観だけで、状況を正しく捉えきれる保証はありません。

素晴らしい技術をお持ちの先生でも、ときとして授業評価アンケートの集計結果が自分の予想と異なることもあります。

そうした「予測と観測結果のかい離」に気付くことは、生徒を観察する目を更新し、その精度を高めるために欠かせないことのひとつです。

直観を磨くということは、客観的なデータや資料との照らし合わせの中でこそ可能なのだと思います。

 ■ 勘に頼らず、データに偏り過ぎず



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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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