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zoom RSS その宿題、本当に必要ですか?(その1)

<<   作成日時 : 2017/09/29 04:41   >>

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先生の多忙も広く認知された社会問題になっていますが、生徒の忙しさもかなりのところまで来ているように感じます。「荷物を増やしても、学びが膨らむとは限らない」でも触れたように、副教材や授業外課題が大きく膨らんでいることも一因ではないでしょうか。

こなしきれないほどの宿題や課題を与えても、生徒は「仕上げ切らないこと」を常態化するだけです。生徒に取り組ませているものを一度たな卸しして、必要性を判断した上で断捨離を試みる必要もありそうです。


❏ 最大公約数で課題を選定すると…

生徒によって学ぶべき事柄の範囲は異なるはずです。

各単元の核となる理解はどの生徒にもきちんと形成させる必要があります。「認知の網」に穴を残しては、自分の未来を左右しかねない情報に触れても反応できない領域が生まれてしまうからです。

しかしながら、その先の周辺知識をどこまで広げるか、学びをどこまで深めていくかは、本人の進路希望や興味の所在によってそれぞれ異なるのではないでしょうか。

科目に興味を持ち、その先にある専門領域の研究に進みたいと思う生徒には、学びを深め、広げる機会をきちんと用意する必要がありますし、国公立大/難関私大を目指す生徒なら入試が要求するところまで拡張の範囲を広げなければなりません。

一方で、受験に備える必要がない生徒にまで同じことを求めることに合理性があるのか疑問です。学ぶ範囲をいたずらに広げるより、きちんと線引きした範囲をしっかり掘り起こすことを優先すべきだと思います。


❏ 知識の拡張範囲は進路希望に応じて複線的に

最も広く・深く学ぶ必要がある生徒の必要を基準に、すべての生徒に最大範囲の知識獲得を求めるより、知識をどこまで拡張するかは個々のニーズに合わせてという発想で、必達目標の先に数段階の複線的な"範囲"を設定しておくのが好適です。

生徒が既に受験期を迎えているなら、進路希望別に宿題の範囲を指定する方法もあります。

このプリントは二次私大で受験科目とする生徒向け、センター試験だけのひとは傍用問題集の〇番と〇番、難関を目指す人は、〇〇大学の第〇問にも目を通しておくように、といったやり方です。

受験期がまだ先なら、必達課題を指定したうえで、それを達成できた生徒、さらに学びを広げたい生徒向けに任意の挑戦課題を与えるという方法もあるはずです。


❏ 宿題には3つのタイプがある

宿題には、授業で学ぶ事柄との関係性において3つの種類があります。

 A: 授業で習ったことを反復する、「記憶と再現」タイプ
 B: 授業で扱えないことを宿題に回す「単語集・問題集」タイプ
 C: 授業で習ったことを使ってみる「活用機会」タイプ

画像

Aタイプが大半を占めているようでは、獲得した知識を新たな課題の解決に活用する機会が乏しくなるため、インプットの不備を検知できなかったり、学習目標の認識が甘くなったり、学びを通じた達成感が希薄になるリスクを引き寄せているかもしれません。


❏ 課題選択の優先順位はCタイプが最上位

授業を通して理解し覚えたことを課題解決に用いる機会を設けることでの効果は、別稿でもお伝えした通りです。

AタイプやBタイプの宿題があまりに多く、生徒の持ち時間の大半がそれをこなすのに使われていては、最も優先すべき知識活用の機会/課題解決を通した深い学びから遠ざかることになりかねません。

これまでの指導/計画されている指導を見直し、上記A〜Cの各タイプの比率がどのようになっているか確認してみる必要があります。


❏ 参照型教材や単語集は主教材を学びながら使い込ませる

Bタイプは、「副教材、こなしきれていますか?」で書いた通り、それ単独で学習を進めるより、主教材と関る部分をひとつひとつ取り上げて学ばせていく方が好適です。

過剰負荷の発生も避けられますし、獲得した知識の活用場面/学んでいることがらがどう問われるのかを認識しながら学べます。

本来、参照型として編まれているものを単独で学ばせ、小テストで履行管理、不合格者は再テストという繰り返しでは、仕上げ切らないことを常態化させ、自転車操業を強いることにもなりかねません。

こうなると肝心の予習・復習が不十分になり、主教材の理解や定着も覚束なくなります。

繰り返しになりますが、主教材で学びを進めながら頻繁に参照させることで「参照型教材を徹底して使い倒す」という戦略が好適です。

ある程度まで使い込んでから通しで再学習させれば、既にかなりのところまで覚えていますので、大きな負担もなく全体を仕上げることもできるのではないでしょうか。

その2に続く。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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