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zoom RSS 自己評価、相互評価を行わせるときの工夫

<<   作成日時 : 2017/09/11 06:05   >>

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個人の練習やグループでの活動の成果を発表させるとき、生徒に自己評価や相互評価を行わせることで、取り組みのたな卸しもできますし、さらに良くなる/良くするための手掛かりも見つけられます。


❏ 評価をさせることはメタ認知を高めさせること

相互評価を行わせれば、他の生徒・グループの発表を聞いているだけのときに比べて、注意力も洞察力も高まりますので、「多様な意見に触れることでの学び」がぐんと大きくなるはずです。

幾つかの段階からひとつを選ばなければならず、その理由も明確にしなければならないとなれば、自ずと
  • どのような要件を満たしていればOKにでき、
  • まずいと感じるのは何が足りないからなのか
をしっかりと考える姿勢も身につけさせることができそうです。

ここで培われたメタ認知は、自ら学んでいくときの大切な土台になり、「勉強を好きにさせる学ばせ方」に必要なものを作っていくことにも繋がりそうです。


❏ 評価機会を重ねて観点や評価規準を理解させる

自己評価、相互評価を行わせるときは、当然ながらいくつかの観点を置いて行わせますが、観点を理解することも生徒にとっては大きなハードルです。

いくども評価を行う活動を繰り返す中で、徐々に観点そのものを理解させていくつもりで臨みましょう。

このスタンスを持たないと、やり始めたばかりで「できるようになるのはこれから」という局面なのに、「やらせてみたけど、あんまりパッとしない」という教員側での漠然とした否定的な印象で、せっかくの取り組みが早いうちに勢いを失いかねません。


❏ 目指すべき到達状態をセンテンスの形で明示

観点を語句で表現したところで、生徒の理解は進みません。

例えば、「正確さ」「流暢さ」「感情移入」(音読の場合)、「主張の明確さ」「十分な論拠」「実現の可能性」(提案づくり)と言われても、具体的にどんなことかピンときませんよね。

ましてや、学習者として発展途上にある生徒にとってはなおさらです。

評価規準は、目指すべき到達状態をセンテンスの形で示すのが鉄則です。語句は概念であり、成否判断の対象になりません。評価規準は成否を判定すべきものですから、センテンスの形態以外では機能しません。


❏ 規準を満したA評価をベースに評価段階を設ける

評価規準に表現された「目指すべき到達状態」を十分に満たしているのが、「A評価」です。

目指すべき状態を超えていれば「S評価」、
目標状態に近いが満たしきれていない部分が残れば「B評価」、
満たしていないものが多く目標状態に遠ければ「C評価」、ですね。

SABCの4段階では、一番下のC評価は、他人に対して与えにくいものです。最低評価をつけることへの抵抗感はどんな場合でも小さくありません。

こんなとき、もう一つ下に「D評価」(要件の大半を満たしていない)を設けると、C評価を与えることへの心理的抵抗が減るようです。一番下は、選ぶケースが実際にはない「捨て段階」であっても、それが用意されていること自体に意味がありそうです。


❏ その評価を選んだ理由を言葉にさせる

各評価の「分岐点」については、最初から先生の側で明確に示しても良いかもしれませんが、評価機会を重ねるごとに、より明確なものに磨いていくという発想も大切です。

上記のSABC(D)での評価をさせながら、そのうちの一つを選んだ理由を言葉にさせていきましょう。

ある生徒のパフォーマンスに対して、自分が付けた評価と他の生徒が付けた評価の違いや、その理由の違いに触れるか中で学ぶものは小さくありません。

徐々に「明確な基準と規準」を自分の中に作らせていく方が、学びへのメタ認知を高める効果が大きいのではないでしょうか。

先生が作ったルールを正しく理解し、それに従うだけのときより、前向きに楽しく取り組めそうな気がします。

 関連記事: 評価規準は使いながらブラッシュアップ


❏ 「十分」と「普通」の違い〜点数方式の落とし穴

興味深いことに、同じ5段階評価でも数字を使って「5点満点」で点数をつけさせようとすると、それだけでうまく行かないケースが増えます。

用いる記号が違うだけで、捉え方が変わってくるのかもしれません。

きちんとしたオリエンテーションや十分なトレーニングが行われていない状態では、「ふつう」の出来に対して、自己評価では「3」、他者評価では「4」をつける傾向があります。

この「ふつう」というのが曲者です。「クラスのみんなの平均的な出来栄え」だったり、「ちゃんと真面目に頑張った」というあいまいな基準になりがちです。

充足要件を「十分」に満たしている状態と、感覚的にとらえた「普通」では、大違いですよね。

記号そのものが、段階性と結びついたイメージを持つことを踏まえると、ABC評価をベースに「期待を超えるS」と「捨て段階としてD」が置かれる形が好適なようです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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