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zoom RSS その宿題、本当に必要ですか? (その2)

<<   作成日時 : 2017/10/02 06:56   >>

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宿題や課題を通して、授業で学んだことを課題解決に使ってみることは、インプットの不備を検知したり、達成感を原資とする次に向けたモチベーションを高めたりする効果に加え、課題に答えを導こうとする中で学習したことの再記銘も図れるため、知識の定着にも有効です。

しかしながら、前稿(その1)で書いた通り、宿題には3つのタイプがあり、「授業内容繰り返し型(記憶再現タイプ)」や「主教材と別に進める知識拡充型」に偏ることで、如上の目的にかなう「知識活用・課題解決型」がわきに置かれてしまうリスクを伴います。


❏ 授業で学んだことを使うタイプの宿題を中心に

前掲の3タイプのうち、学習意欲を高め、主体的な学びを具体的な行動に転じさせる機能に最も優れるのは、3番目のCタイプです。
画像
前稿から再掲

まずは、授業で学んだことを別の課題を解決するのに使う機会(Cタイプの宿題・課題)を整えることを優先しましょう。

その上で、科目ごとに想定している標準的な授業外学習時間をオーバーするような他の宿題(A/Bタイプ)は優先順位の低いものからカットしていくという判断が求められます。


❏ 無理に機会を作らずとも、他の学習機会が利用できる

Aタイプは、Cタイプの宿題をしっかり整えれば、課題解決の中で必要知識に触れる再記銘の機会が確保できるはずです。

Bタイプも、前稿で申し上げた通り、主教材での学びを進めながら頻繁に参照させることで、既習部分は着実に広がり、定着も進むはずです。

知識は使わないでいるうちに、忘却曲線にそって保持率が下がりますので、向こう暫く使う機会がないことまで範囲を広げて無理に覚える機会を作っても、得るもの/残るものは少ないのではないでしょうか。

受験期を迎えて過去問演習をしたり、直前期に総ざらえの学び直しの機会を待った方が効率的という考え方もあると思います。


❏ 最大公約数的な課題付与、学習時間延伸の自己目的化

知識拡張の範囲を設定するときに最大の網をかけるような発想や、学習時間を延ばすための宿題を課すのはやめるべきではないでしょうか。

受験で必要になるかもしれないことはすべてカバーしておきたいというのもわかりますが、過剰な保険を掛けることが他に歪みを作るリスクも勘案すべきでしょう。

家庭学習時間に目標値を設定してそれを達成するために宿題を増やすというのも本末転倒だと思います。

授業外学習は、見方によれば生徒にとっての残業ですから、学習目標を達成するのに必要な課題かどうかを徹底的に検証して、不要なものは課さないという姿勢が指導者に求められます。


❏ 履行率を高め、仕上げ切らせることを優先する

時期ごとの課題のあり方を戦略的に考えることで、今の時点で与えるものを精選することができます。

履行率を高めることは、「仕上げ切らないことを常態化させるリスク」を低減しますし、次のステージに進んだときに必要となるレディネスを整えることにも貢献するはずです。

宿題に追われて予習・復習がおざなりになっても仕方ありませんし、小テストの本番に備えて頑張るよりも、再テストに甘んじることを選択させるのも建設的とは言えません。

宿題を増やしても履行率が上がらないときより、じっくりと精選した課題に取り組ませた方が、結果的に学習時間も増え、学力向上や学習習慣の形成に役立ったというデータもあります。


❏ 「やりかけ」の状態を作ることが履行率アップの鍵

Cタイプの宿題を課したとき、授業終了間際に「仮のアウトプット」をさせることで、宿題の履行率は大きく跳ね上がります。

やりかけの状態を作ると、生徒のうちに「仕上げたい」という欲求が生まれることが、その理由の一つです。

また、仮のアウトプットを通して、「宿題を仕上げるのに必要な知識・理解」が自分に欠落していることに気付けば、先生に質問したり、周りに訊いたりすることもできます。


❏ 仮のアウトプットで理解の確認と記憶の再記銘

仮のアウトプットをさせず、プリントを配ったり指示を出したりでは、プリントや手帳の記載と「再会」するのは、家に帰ってからです。

その時点で不明に気づいても、訊くべき相手は周りにいません。LINEで友達に聞くという殊勝な生徒もいるかもしれませんが、手が出せないとなれば放置するしかなく、せっかくの再整理・再記銘の機会を失ってしまいます。

もう一つの効果は、仮のアウトプットに挑む中で、教科書・ノートを見直しますので、記憶の再記銘が図られることに起因します。

50分の授業時間の前半で学んだことは、就業のチャイムの時点ですでに数十分が経過しています。ここで再記銘するチャンスがあれば、記憶の保持に大いに役立つはずです。


その3に続く。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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