復習は間隔をおいた"重ね塗り"で(その1)

理解したことを記憶に定着させようとするとき、間隔を空けて幾度も「薄く塗り重ねていく」のが好適です。短い期間で一気に厚塗りをしようとしても、狙い通りには行かないものです。

授業や副教材で学ばせたことを小テストで確認し、覚えていなかったら再テストまでして定着させたつもりなに、定期考査で同じ範囲から再出題してみたら期待を下回る結果という経験はないでしょうか。

忘却曲線を引き合いに出すまでもなく、記銘から時間が経つほど記憶の保持率は下がります。学ばせたことは機会あるごとに使わせることで、再記銘を図るような仕掛けを講じましょう。

あらゆる機会を利用して、少しずつ理解と記憶を重ねていくようにしましょう。ペンキだって回数を減らして厚塗りしても、ひび割れたり剥がれたりしますよね。

小テストや定期考査の準備という場面を用意して、「覚える」という意識を前面に出さずとも、使う機会さえあれば再記銘は図れます。


❏ 授業終了時に用意したアウトプットが最初の機会

授業を終えようとするときに、導入フェイズで示しておいたターゲット設問に立ち戻り、自分が作った「仮の答え」を「より良い答え」に作り変えさせれば、当然ながら、その日の授業で学んだこと全体を見返すことになります。

 ■導入フェイズで仮の答えを作らせることの効果

ひとつのターゲット設問で学習項目を十分にカバーできないときは、授業で扱ったことを箇条書きにして「解答」を用意しておき、それを導き出すような問いを並べて作った「チェックリスト」を併用しましょう。

「○○が○○する仕組みは?」「○○とはどんなこと/なぜか?」 といった問いに、生徒が自分で答えを作ろうとする中で、教科書、ノート、副教材をひっくり返して見直す光景が観察できます。

 ■小テストをもっと効果的に(全3編)

ターゲット設問にしろ、チェックリストにしろ、授業終了時に時間を設けて挑ませることが重要です。

ここで1回目の再記銘を図っておくことの効果は小さくありません。授業の序盤や中盤に学んだことは、その後の活動でかなりのところまで記憶が上書きされていますし、気づかぬまま不明点も残っています。

宿題にしてそのままカバンにしまわれたら、家に帰ってカバンを開くまで、その問いのことが意識にのぼらず、その間に授業中に得た知識は想起できなくなっているかもしれません。

授業が終わる前であれば、わからないことがあっても周りに訊けます。教え合えば「理解したことを言語化すること」によって、教えた側にも大きな効果が期待できます。

 ■5分間アウトプットの費用対効果


❏ 家に持ち帰っての仕上げで2回目の再記銘と理解の深化

授業終了前の5分間で行う1度目の再記銘の次は、家に帰って/自習室での学習です。

授業を終えるときにターゲット設問やチェックリストに照らして、学んだことのたな卸しをしていますが、きちんとした答案に仕上げないことには、表現力を鍛える機会にも、さらに深い学びにも繋がりません。

理解が早く、終了時の5分で仕上げてしまっている生徒がいたら、理解したことを十分に活用できているというとなので、それ以上「復習」に時間をかけさせる必要はないと思います。

学習時間の延伸は、知識の定着と理解の深化を図るための手段ですから、目的が達成された後で手段にこだわるのは不合理です。

そのような生徒には、さらにその先に知的な探究を楽しめるような任意の課題を用意してあげましょう。興味が芽生えていたら自発的に手を付けてくれるはずです。

他の科目の勉強や部活で生徒が忙しいから、という理由で何も宿題を課さないと、理解の深化と記憶の定着を図る機会を生徒は持てません。


❏ 次回の授業では持ち寄った答案の吟味で更なる学び

前稿の最終セクションの6.にあるように、次回の授業では、提出された答案を元に、学びの更なる拡充と深化を図るようにしましょう。

生徒がそれぞれ書いてきた答案には、教える側が想像しなかったような鋭い着想や、面白い間違え方が見つかるはずです。

ICTを利用して、登校前に宿題をアップロードさせておけば、事前に目を通して「教材として優れた答案」を抽出しておくことができます。

それらを使って、電子黒板上で公開添削を行えば、生徒同士の気づきを交換する場、他の生徒の答案に啓発される場を作れますし、特に重要なこと、単元理解の軸となるような事柄なら、4回目、5回目の再記銘も行われているはずです。

その2に続く。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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