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zoom RSS ひとつの教材を扱う中で4技能を養う(その1)

<<   作成日時 : 2017/11/14 04:59   >>

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高大接続改革や次期学習指導要領では、4技能のバランスの取れた育成が求められるのは既定の路線ですが、同時に「テクストを読んで[聞いて]理解したことをもとに思考して表現する力」が試される2020年以降の大学入試への対応も考えなくてはなりません。


❏ 教材や学習場面の拡充を図るのはほぼ不可能

4技能を高めるとともに思考力・判断力・表現力を養うという課題にどう取り組むかは、英語の先生方を大いに悩ませているところです。

授業時間が増えるわけではありませんので、教材を増やしてこれまで以上に様々な学習場面を作るという戦略は取りようがありません。

下手をすれば、一つひとつの課題を仕上げ切れないままに放置することを常態化する生徒が増えるばかりです。

となると、採るべき戦略はひとつの教材を多角的に利用して4つの技能を並行して(×それぞれ別に)高めていくという方向ではないでしょうか。

教材は、増やすのではなくこれまで以上に精選する方向で考えるべきだと思います。


❏ 本文の導入と同時にリスニング力の鍛錬

コミュニケーション英語のテキストを用いるとき、導入フェイズでその単元が扱うテーマについて概要を英語で話して聞かせて、T/Fテストやディクテーションなどのタスクに取り組ませながらリスニング力を鍛えるのは、すでに多くの教室でやっていることです。

先生が単元の概要を英語で話して聞かせても、あまり集中していない生徒もいますので、如上のタスクを課すこともポイントでしょう。

教科書会社が提供するスクリプトや音源を用いるほか、JETやALTに協力を依頼してスクリプトを起こして音声データを録音してもらうという手もあります。

出来合いのものを使うより、他教科の学びと結び付けたり、年間授業計画の中での当該単元の位置づけに合わせたアレンジもできるほか、生徒の英語力に合わせた調整もしやすいはずです。

聞かせているだけではなく、生徒の口も動かさせたいところです。音源に合わせて音読せたり、できる子にはシャドウイングに挑ませても良いのではないでしょうか。

始業のルーチンとして確立しておけば、休み時間からの意識の切り替えもスムーズに行えるはずです。いかに少ない指示で生徒を動かせるかも腕の見せ所です。


❏ 問いを示してから取り組ませる音読

本文内容を理解する場面で、指名した生徒に和訳させても、あまり効果はなさそうです。ネット上を探して手に入れてきた全訳を読み上げているだけの生徒もおり、和訳を言えたことが英文を理解していることの証明にはなりません。

読んで理解したことをもとに考えるタスクとして本文内容の理解を試す設問を提示して、その答えを作るために本文を読み取らせる仕掛けを講じましょう。

「次の主張に対して本文の筆者は賛成か反対か」という2択の問題から始め、「そう考える理由は何か」という問いに展開していけば、生徒はそのたびに本文を読み直します。

CDに続いて音読させるときも、如上の問いを示してから始めた方が、音をなぞるだけの状態から一歩進んで、内容を取りながら音読スピードで読み進む力を養えます。

返り読みせず、ゆっくりめの音読スピードで読み進められるようになれば、センター試験で必要な130wpmは達成しているはずです。

ペア読みなどの活動に移行しても、先の問いが頭に残っていますので、練習もただの作業に出すことなく、実のあるものになります。


❏ 調べさせることで学びに必要なスキルを獲得させる

如上の問いに正解を導けたとしても、英文を精緻に観察して、そこで使われている文法や照応関係を含む構造を正しく理解できているかどうかも確かめておかないと、その単元で学ぶべきことが抜け落ちてしまうことがあります。

こうした点を確認するには、先生からの問い掛けで、観察するべき箇所に焦点を置かせるのが好適です。

代名詞がさすものや、文中に省略されている語句を尋ねれば、生徒は答えようと思い、英文を観察し、どうやって探せばよいか考えます。

ぽつんと埋め込まれた仮定法に気づき条件を表している節や句を見つけられるかも大事ですよね。

運用語彙を構成する単語・熟語については、それを使った辞書や単語集・熟語集のページを開かせ、例文を探させて使い方をより深く理解させる必要もあります。

調べさせた例文はある生徒に読み上げさせて、他の生徒にはそれを書き取らせてみれば、記憶にもしっかり残りやすくなるはずです。

文法項目についての理解を深めさせようとするときも、先生からの問い掛けで、手元の参照型教材のページを開かせ、自力で読んで理解させるようにしましょう。

解説を読んで理解したことをもとに、本文の該当箇所の構造的・文法的な説明をペアで互いに言わせるのも面白いと思います。言語化は定着のためのカギです。



先生が丁寧に説明すれば、その場の用には足りるかもしれませんが、生徒が自力で不明を解消する方策に習熟させるチャンスを逃します。

ちなみに、クラス全体に問いを投げかけ、様子を探りながら誰に答えさせるか判断すべきことは言うまでもありません。指名してから発問するのではだめです。その生徒以外は「休憩」します。

その2に続く。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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ひとつの教材を扱う中で4技能を養う(その2)
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