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zoom RSS 解くべき課題は明らかなのに学習目標がわからない?

<<   作成日時 : 2018/01/30 06:14   >>

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授業で得た理解と知識を用いて解を導くべき課題を導入フェイズで提示すると、生徒が学習目標を明確に認識することは、以前の記事"目標理解と活用機会を整える授業デザイン"でお示しした通りです。

しかしながら、授業評価アンケートの集計データでは、ときとして活用機会が整う度合いと学習目標を理解しているかどうかの相関が崩れていることがあります。

活用機会と目標理解をそれぞれ横軸・縦軸に置いた散布図で、近似線から大きく離れた位置にある授業では、
  • 学び始める前に、その問いへの仮の答えをしっかり作らせる
  • 解いて見せてから、思考を辿り直しながら目標を再確認する
という方法で、相関の崩れを正せることが多いようです。


❏ 題意を理解させるために「仮の答え」を作らせる

導入フェイズで本時のターゲットとなる問いや課題を示しても、生徒がそれを文字として認識するだけです。

自ら答えを考えてみようとしないと、その問いや課題が何を求めているかの把握には至りません。

問いや課題が求めていることは、学習を通じて理解すべきこと、つまりは学習目標そのものですよね。

手持ちの知識と理解を使って、わかるところまで考えてみてようやく、その問い/課題が求めているものが把握できますし、解を導くのに新たに手に入れなければならない知識や理解の存在を知ります。

ひとりで考えさせてらちがあかないようなら、周囲と話し合わせて、そこまでの理解を互いに交換させてみましょう。

仮の答えを作る中で、不明の所在を知り、それを解消したいという気持ちを持たせてはじめて、生徒はその日の学習に目標をもったことになるのではないでしょうか。

単元を予定通りに消化していくのは、あくまでも教える側の都合に過ぎず、生徒側での動機や目的ではありません。


❏ 通ってきた道を地図の上で確認させる

単元の内容によっては、如上の方法だけでは学習目標の理解が十分に伝わらない場合、もう一手打ってみましょう。

例題などを一度解いてから、板書を辿り直しながら、場面ごとにやろうとしていたことを再確認するのが効果的なことがあります。

 ■ 理解度の確認〜場面と方法

どのような考え方が必要か、なぜこのような手順を採るのかといった、プロセスのひとつ一つの意味が捉えられないと、生徒は「何を目的に学んでいるのか」を想像できません。

理解の確認にしても、正しい答えを導けたかだけに止まらず、手順の一つひとつについて、その意味を確かめていく必要もあります。

学力に不安があるクラスこそ、そうした手間を惜しむことが、学習目標の理解不足→目標に照らした理解の補完が効かない/達成感の不足で学びへのモチベーションが持てないという悪循環の起点になりがちです。


❏ 目標を認識させないまま丁寧に教えて理解させても…

数学や理科では、ことさらターゲットとなる問いや課題を用意しなくても、教科書に問題が載っていますよね。

解けるようにならなくてはいけない問題(=最終的な目標)は教科書を見れば明らかなのに、授業評価アンケートで「学習内容がはっきり示されていない」という回答が多くを占めることがあります。

教える側としては「ん?なぜ?」という気持ちかもしれませんが、冷静に考えてみると生徒のそんな反応も無理からぬことに思えてきます。

先生が淡々と問題を解いて見せて、生徒は答えや解き方を覚えるだけだとしたら、生徒にとって目指すべきものは「真面目に聞いて教えてもらったことをしっかり覚えること」になってしまわないでしょうか。

そこには、科目や単元に固有の学習目標は存在していません。


❏ 改めて、学習目標を正しく理解させることの重要性

  1. 本時の学習目標を代表する”ターゲット問題"を示した上で、手持ちの知識を使って生徒にしっかり考えさせてから学びの本題に入る。

  2. ひと通りの説明を終えたら、板書を辿りながら、そこで重ねた思考のプロセスを一つひとつ振り返らせる。
この2つをきちんと行うことで、その日の学びの目的を生徒に正しく理解させないことには、授業への積極的な参加も促せず、目的に照らしてこそ働く理解の補完も期待できなくなってしまいます。

その結果は、確かな学力が作れない、その先を学ぶ意欲がわかないというスパイラルではないでしょうか。

単元ごとの学習目標は先生方にとって自明であっても、これからそれを学ぶ生徒にとっては、足を踏み入れたこともなく、地図も携えていない世界だということを、忘れないようにしたいものです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



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