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zoom RSS "アクティブ・ラーニング"で学習時間が減る?

<<   作成日時 : 2018/03/13 04:59   >>

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いわゆる"アクティブラーニング"的な授業が広く行われるようになった学校で、生徒の平均学習時間が減ったというデータがあります。

調査法は各校それぞれであり、また精度も良くない訊き方をしていたりもするので断言はできませんが、何か腑に落ちないものを感じます。


❏ 能動的に学ぶようになれば、学習時間も伸びるはず…

"学ばせ方の転換で、家庭学習の充実が求められる"で書いた通り、教室での対話的で深い学びを実現するには生徒による授業準備が必要です。

また、課題にじっくり取り組ませることで教室で深めた学びを確かなものにするには、復習にも一定の時間が投じられて当然ですよね。

なのに、教職員が「前年度に比べてアクティブラーニング的な要素を取り入れる授業が増えた」と自己評価しているケースで生徒の学習時間が明らかに減っているのは、ひとつの学校の特異な一例ではありません。

新たな方法を採り入れながら、関連する周辺(予習・復習・課題)に手を入れず、以前のままにしてしまったことが原因と考えられます。


❏ 集団としての調和で終わっていないか

それまで寝ている生徒もいた教室で、皆が元気に活動している様子には手応えを感じるかもしれませんが、一人ひとりの学びが深まり、確かな学力が形成されていなければ何にもなりませんよね。

対話を通じて、知識や経験を交換し、発想を拡充できても、学びはそこで終わりではありません。

膨らんだ発想を元に課題への解を自分の言葉でまとめ、より良い答えに作り替える仕上げに、じっくり取り組ませる必要があります。

グループワークなどを主体としている場合、フリーライダー(他人の成果にただ乗りしている生徒)も出現しているかもしれません。

以前の記事でも申し上げた、協働学習を"集団としての調和"で終わらせないことに十分な意識が向いていれば、AL的要素を取り入れても、学習時間は減らないはず、むしろ増えてくるはずです。


❏ 課題が解決されて、それ以上の探索の必要がなくなった?

協働で課題解決に当たらせると、自分が関わらないうちに、何となく答えが出来上がっていくような場面があります。

こうなると、問題意識を十分に持たない生徒は、それ以上に問題を掘り下げていく必要を感じません。

やる気があった生徒も、答えが出た以上、その先にやるべきことを見い出せず、気持ち悪さを抱えながら学びを止めるしかなくなります。

また、わからないことがあっても、教え合いや学び合いで不明が解消されれば、当座の用は満たされたことになり、それ以上調べたり、考えたりする必要も感じなくなるはずです。

考え続けさせ、自分で調べる行動を取らせるためには、膨らんだ発想や解消された疑問の先に、「自分の答えを作り上げるべきさらなる1問」が用意されている必要があります。

終了時の工夫で成果を高める(記事まとめ)
  • 質問を引き出す〜学びを深め、広げるために
  • 結論を出さずに終える授業
  • 5分間アウトプットの費用対効果


❏ 対話の相手が生徒同士に限られることも問題か

"対話的な学び"と言いますが、対話の相手が一緒に学ぶ生徒同士に限られていないでしょうか。

先生との問答も対話のひとつ。資料や文献を通した先人との対話も必要です。設問を通した出題者・採点者との対話もありますよね。

生徒が導いた答えに対して、先生がきちんと突っ込む(=より良い答えを探す行動に向かわせるためのフィードバックを行う)ことなしに、生徒はさらに思考を広げ、深めるきっかけを得られません。

適切な問いを与えた上で、参照すべき資料の所在を示せば、生徒は自力で読んで考え始めます。

過去問から、そこまでに学んだことを使って答える良問をピックアップして、次回までの宿題にすれば、生徒はさらに対話と思考を続けます。

いずれも生徒が自分で見つけることは事実上不可能。となれば、これらを用意するのは指導者の仕事です。

学びの中で生徒が経験する対話の相手が周囲の生徒だけに偏っていないか、様々な相手との対話を経験できている状況にあるか、日々の学習指導を振り返って点検してみる必要があろうかと思います。



蛇足ながら、大学の授業評価アンケートでも、ティーチングアシスタント(TA)がついて、学生の学びを支援しているクラスの方が、授業外学習時間が短いという傾向があります。

わからないことがあったり、何かに興味を持ったりしても、自分で調べるまでもなくTAに尋ねれば当座の用が足りてしまう状況では、それ以上の学びに向かう必要がなくなってしまうのかもしれません。

高校でも、学習支援をして下さる方に対して、「安易に答えを与えない」「やり方を示して生徒・学生自身にやらせる」という方針を徹底してもらう必要がありそうです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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