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zoom RSS 進路の手引きは冊子よりもファイリング形式で

<<   作成日時 : 2018/03/15 07:55   >>

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進路の手引きは立派な冊子に整えられて年度当初に生徒に配布していることが多いようですが、思い切って冊子の印刷と配布を止めませんか。進路指導計画に沿って、その都度必要な資料を配布し、生徒自身の手でファイリングさせる形に切り替えてみることをご提案いたします。


❏ 冊子形式が抱える問題点

冊子に1年間(あるいは3年間)で必要な情報をまとめておくと、必要なときにいつでも情報に当たれるというメリットはありますが、それはインターネットのなかった時代にこそ活きたものだと思います。

PCやスマホで検索すればそれなりの情報にはすぐに行き当たる現在、最長1年間(3年間)更新されない情報を使う意味はありません。

また、少なからぬ学校の実態を見ると、せっかく配った冊子も、生徒が改めて手に取りページを開く場面はあまりないように見受けられます。

進路の手引きを冊子形式で配布することには、
  • 情報が古くなりがち(判断を間違わせるもと)
  • 必要な場面でもきちんと参照してもらえるとは限らない
という問題点あるいは弱点が付きまといます。

三年間の流れを認識させるなら、その目的に特化したプリントを用意すれば十分であり、詳細な情報まで冊子にまとめる必要はありません。


❏ 指導機会のたびにプリントを配り、ファイリングさせる

これらの問題点は、進路指導計画に沿って行うホームルームや進路行事の場で、「現時点において知っておくべきこと」をまとめて編集したプリントを配布し、生徒の手でファイリングさせていく形式に切り替えることで解消が図れます。

初回の進路指導オリエンテーションでは、3ヵ年の見通しを持たせる必要がありますので、まずは進路指導カレンダーを配布しましょう。

36か月のカレンダーのどこに、「大きな分岐(選択の機会)」があるかを生徒一人ひとりに認識させることがここでのポイントです。

進路希望調査を同時に行うのであれば、記入した用紙を回収して教員側で写しを保管して、原本はファイルに戻させ、のちの面談指導で活用しましょう。

その後も、例えば、大学の先生の模擬授業を行ったら、事前指導で配ったプリントと一緒に受講後に記入したリフレクションシートもファイルさせておきます。


❏ ファイリング形式のメリット

このような形で、従来は冊子形式であったものをファイリング形式に切り替えると様々なメリットがもたらされます。
  1. その時点での最新の情報を与えられる
  2. 配布のたびに読み合わせができるので漏れが少ない
  3. 進路型が分岐しても、個の必要に応じた情報に焦点化できる
  4. 蓄積されたワークシートはそのままポートフォリオになる
1.と2.は、言うまでもなく、冊子形式が抱える問題に対する直接的な解決策になりますよね。

3.については、就職や専門学校を希望する生徒と大学進学希望者とでは意識を向けておくべき情報は違うことを踏まえれば、軽視できません。

アンテナを向けておくべき方向が違うということであり、余計な情報を減らした方が、必要情報への感度も上がります。

就職ガイダンスに参加した生徒や専門学校ガイダンスに参加した生徒がそこで配られたものや記入したワークシートをファイルに収めていけば、それぞれの進路希望に添ってカスタマイズされた「進路の手引き」を手にできることになります。


❏ ポートフォリオに残すべき情報

高大接続改革では、一般入試でも志望理由書や学習計画書を選考材料に含むことが大学に求められていますし、AO・推薦入試での募集枠が増えるとなると、ポートフォリオの作成は喫緊の課題です。

ポートフォリオには、「ラーニング・ログ」(学習記録)、「プラクティス・ログ」(実践体験記録)、「リフレクション・ログ」(省察記録)などを残すことになります。

各教科の学習なら、その成果を定期考査や模試の結果として残すのもファイルが決まっていれば簡単です。

また、進路探究や体験活動などを経験するごとに、体験や省察の結果をログを残すにも、ファイリング形式はとても便利です。

先生方の側でも、指導機会のたびに「ここでは何を記録させるか」を場面に応じて判断しやすくなるため、高大接続改革に向けた初めての試みにも戸惑い少なく望めるのではないでしょうか。


❏ ポートフォリオの電子化の前段階として

いずれは、ポートフォリオの電子化が進むでしょうが、様々なログを残すこと自体に生徒も先生も不慣れな段階、経験が不足している段階で、その設計に当たるのは現実的とは思えません。

紙ベースのファイリングを進める中で、どのような情報を残すべきかを検討を重ねながら、それらを格納できるようデータベースのテーブル構造を拡張していけば、ことはかなり易しくなるはずです。

指導機会ごとに配布した資料も、電子化してサーバー上に保存しておけば、必要に応じて参照させるのも簡単です。

冊子ベースの進路の手引きをファイリング形式に切り替えることは、こうした"次の時代での必要"に応えるための準備という意味もあるとお考えいただければ幸いです。


❏ まずは新1年生のものから試行〜決断するのは今!

全学年のものを一気に切り替えるのは、労力も膨大で混乱も懸念されます。新1年生の分から年次進行で進めていくのが合理的かつ現実的だと思います。

新2年生、新3年生については、すでに持たせている冊子をより良く活用させることに注力し、新1年生については冊子の印刷を取りやめてみては如何でしょうか。

新入生に対する最初の進路オリエンテーションや進路希望調査などは、数週間後に迫っています。決断するなら今です。(印刷屋さんへの発注を止めるタイミングもありますよね。)


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一



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