現場で頑張る先生方を応援します!

アクセスカウンタ

zoom RSS "正解を言って欲しい"と言う生徒

<<   作成日時 : 2018/04/11 04:19   >>

トラックバック 11 / コメント 0

生徒や学生にアンケートなどで授業の感想を聞くと、「正解をちゃんと言ってもらいたい」という声がちらほらと聞こえます。

先生はある意図をもって、敢えて正解を示していないのが、傍から見ていても明らかな場合にもです。

答えは与えられるものではなく、自分で作るものという発想をしっかり持てている生徒・学生ばかりではないということでしょうか。


❏ 習ったことを覚えれば良いという誤った学習観

以前であれば、習ったことを確実に覚え、スピーディーかつ正確に再現できるのが優秀な学習者であり、職業生活の上でもアドバンテージとなりましたが、これからの社会はそうではないはずです。

答えが一つに定まらない問題は、大学入試に限らず社会のどこででも遭遇する可能性があります。自分で調べたこと、仲間と話し合ったこをもとに、生徒・学生が自分なりの答えを作ることが求められています。

そんな時代を迎えているにも関わらず、如上の発言を耳にすると、その大切さを理解しているかどうか甚だ不安になります。

生徒がこんな文句を言うのは、答えこそが大事だと思っているからではないでしょうか。

もしかしたら、これまで受けてきた定期考査が「習ったことを覚えて再現できれば点数になる問題」ばかりで、正解を教えてもらうことが最も効率の良い学び方という意識が染みついてしまったのかも知れません。


❏ 正解を示さない理由をきちんと説明しておく

先生方が、敢えて模範解答をきちんとした形で示さないでいるのには、2つのパターンがあろうかと思います。
  1. ここまでの学びを踏まえれば、答えは自力で仕上げられるはず(だからやって欲しい)

  2. 正解は一つではないので、模範解答を示すことで生徒・学生の発想を狭めたくない
いずれの場合も、まずは意図するところをきちんと言葉にして生徒・学生に伝えるべきであることは言うまでもありません。

しかしながら、意図を説明したからと言って、完全にわかってもらえるわけでもないようです。

生徒・学生が実感として「なるほど、そうか」と思える体験を教室の中に作る必要があるのではないでしょうか。


❏ 深めた理解を元にじっくり課題に取り組む学習サイクル

前者の場合であれば、授業中に広げ深めた理解を元に、課題にじっくり取り組ませて自分の答えを仕上げさせる学習サイクルを確立する必要があろうかと思います。

授業中にすべての結論が出てしまえば、やるべきことは「覚える」ことしか残っていません。

 ■ 結論を出さずに終える授業
 ■ 思考力を鍛えるのは、教える前が勝負

仕上げた「自分の答え」を次の授業に持ち寄って、答案の優劣を論じる場面などがあればより効果的かと思います。

自分で答えが作れそうだと思えば、他人の答えを押し付けられることを却って嫌だと思うのではないでしょうか。


❏ 課題を仕上げられる準備を授業内で整えるのが前提

もちろん、授業の中で、課題に解を導けるだけの準備・土台を整えておくことも大事です。

課題を持ち帰れる準備が整ったかどうかは、授業終了時に数分の時間をとって「仮のアウトプット」を行わせることで確かめましょう。

どのように答案にまとめるか周囲で話し合う時間を与えておけば、仮にわからないことがあってもそこで解消できますよね。

課題は与えた以上、達成させるのが指導者の責任です。

 ■ やりきらせる責任〜仕上げ切らないことを習慣化させない
 ■ 学ばせ方の転換で、家庭学習の充実が求められる


❏ 様々な答えが正解になることを学ばせる

後者の場合であれば、普段から「答えが一つに定まらない問題」を多く体験させておく必要があります。

論述タイプの問題であれば、様々な切り口、着眼点で題意を捉えれば、おのずと答えは多様化しますし、賛否が分かれる論点を含む問題であれば、答えが一つに集約することはありません。

今後、大学入試でもそのような出題は多く見かけるようになりますので、出題研究を充実させれば題材は徐々に集まってくるはずです。

 ■ 出題研究の成果を指導計画作りに活かす


❏ 答えが一つに定まらない問題もきちんと評価する

正解が一つに決まらない問題を授業の中で扱うときの最大の関門は、その評価方法です。

ここで言う評価とは、評定をつけることだけを意味していません。生徒自身が自分の答案を相対化し、より良い答えに持っていくために必要なことを気づけるようにする活動を指します。

足りないものに気づけば補おうと思いますし、もっと良い答えがあり得ると知れば磨こうと思います。

こうした意欲が、他人が作った答えに飽き足らず、自分の答えを作ろうという姿勢に繋がるのではないでしょうか。

答えが一つに決まらない以上、模範解答の異同だけを基準に点数を割り当てる従来型の採点基準は役に立ちません。

採点基準を作るとき、主張の明確さ、論証の確かさ、反論の予測といった観点を定め、それぞれに対して段階的な規準(到達すべき状態)を明記するのが採点ルーブリックです。

 ■ 高大接続改革に向けて今できる準備
 ■ 自己評価、相互評価を行わせるときの工夫


このシリーズのインデックスに戻る


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(11件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
探究活動の課題〜調べ学習との境界と進路への接点
各地の学校で行われている探究活動や課題研究を拝見する中、生徒の取り組み方にはいくつかの類型的な問題点があるのではないかという思いを強くしています。とりわけ、調べ学習と探究活動の境界がどこにあるか理解していない巨人の肩の上にまだ到達していないことへの自覚がない選んだテーマに「自分ごと」としての関わりを見出していないなどは多くの生徒に見出される特徴ではないでしょうか。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/06/07 05:23
どんな人材を育てようとしているのか
日々の教育活動の中で、常に意識を持ち続けるべきは、「どんな人材を育てようとしているのか」という問いだと思います。学校が教育目標として掲げ、入学してくる生徒たちに約束したことや、分掌、学年、教科という三つの立場での自分のミッションをどれだけ自覚できていることが、個々の場面でもブレのない指導を実現するのではないでしょうか。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/06/12 05:39
学ぶ理由/自立した学習者
1 学び続けられる生徒を育てる1.1 教室は、興味が生まれる瞬間を体験して学ばせる場 1.2 5教科7科目に挑ませることの意味 1.3 学び続けられる生徒を育てる 1.4 学びの広さと深さ 1.5 勉強好きにさせる学ばせ方 1.6 学び方そのものを学ばせる 1.7 "丁寧に教える"ことを取り違えていないか 2 どんな人材を育てようとしているのか New!2.0 どんな人材を育てようとしているのか 2.1 どこに進学させたかよりも、どんな人に育ったか 2.2 "正解を言... ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/06/12 05:52
"主体的・対話的で深い学び"の実現に向けて
主体的・対話的で深い学びをしっかりと根付かせるには、その実現に向けた取り組みの成果を検証する必要があります。様々な方法を試すのが可能性と選択肢を増やすことは間違いありませんが、目標は何かしっかり見定め、取り組みが生徒を目標に近づけているかを確かめないことには、あらぬ方向にさまようリスクを抱えます。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/06/21 05:41
教え込むより、調べさせて気づかせる
教科固有の知識や理解を効率良く形成しようとすると、調べさせたり考えさせて気づかせたりするよりも、教えるという方法を選択してしまいがちですが、それでは生徒が自力で物事を理解したり、何かを解き明かしたりする力を養う機会を奪ってしまうことにならないでしょうか。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/06/21 05:47
対話が思考を育み、深い学びを実現する(まとめ)
2020年以降の新しい入試に初めて挑む学年がこの春に高校生となり、新課程で学ぶ生徒も来春には中学生となる中、新しい学力観にそった、教え方の転換を図るべく、各地の学校では様々な工夫がなされています。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/07/06 04:30
自ら学び続けられる生徒を育てる
学校を卒業した後、自ら学び続けていける生徒を育てることは、すべての学校のミッションであり、教科固有の知識・技能をきちんと身につけさせることと同等以上に大切なことではないでしょうか。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/08/09 05:37
答えを仕上げる中で学びは深まる
授業を通して学力の向上や自分の進歩を実感できることで、生徒はその科目を学びつつづける意欲を維持・向上することができますが、その実感をもたらすのは「習ったことを使って課題を解決できた体験」です。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/08/30 07:24
苦手意識を抑えて、伸びている実感を持たせる
授業を受ける中で「学力や技能の向上」「自分の成長や進歩」を実感できている生徒は、高い確率でその科目に新たな興味や関心を見出していくというデータがあります。逆に、伸びている実感が得られなければ、その科目を学び続ける意欲を維持するのは容易ではありません。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/10/02 08:01
学習方策は課題解決を通して身につく
ある単元を学ばせるときに「不明を残さずに理解させる」ことだけを目的とするなら、先生一つひとつ丁寧に教えれば十分かもしれませんし、ある問いに正解を導くだけであれば、手順をきちんと伝えさえすれば当座の目的を達することはできます。しかしながら、これだけでは、学び方を学ばせたことにはならないでのはないでしょうか。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/10/11 08:12
5分間アウトプットの費用対効果
学力の向上や自分の成長や進歩を実感するには、学習を通じて達成すべきこと(=学習目標)の把握教え合い・学び合い、対話を通じた学びの深まりという2つの要素に加えて、習ったことを課題解決に活用する機会が欠かせません。学習目標の把握には「解くべき課題」が必要であり、活動を自己目的化しないためには「目標の認識」が不可欠という因果関係から、これら3項目は互いに強固な相関で結ばれています。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2018/10/18 04:43

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
"正解を言って欲しい"と言う生徒 現場で頑張る先生方を応援します!/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる