個々の教育活動の位置づけを明確にして構造化

新学習指導要領のもとで学校がどのような教育活動を行うかを考えるときに忘れてはならないことは他にもあります。
  • 学校が提供する様々な教育機会がグランドデザインをわかりにくくするノイズになっていないか
  • 入学してくる生徒が中学卒業までにどんな体験をし、何を身につけているか
などはその最たるものだと思います。


❏ 多様な教育活動はときに"ノイズ"としてふるまう

長年にわたり作り上げてきた学校ですから、生徒が過ごす3ヵ年には様々な教育機会が配列されています。

その一つひとつが、担当する分掌・学年・教科といった教員組織の思いの詰まったものですし、様々な効果を上げていると思います。

しかしながら、それらをずらりと並べるだけでは、何が中心で、どこに注力しているのか、外から見てわかりにくいものになってしまいます。

それ自体が美しい音であっても、全体との調和の中に位置づけられないとノイズとしてふるまうことがあるのと同じです。


❏ 個々の教育機会が目指すものの位置づけを見直す

学校がどのような教育機会を提供しているかを並べて見せるだけではなく、それらがグランドデザインで描いた学校の教育目標の達成に、どう貢献しているかを示していくことが重要です。

個々の教育活動には、それらを通して生徒に獲得させようとしている資質や姿勢があるはずです。

一方で、学校が育てたい生徒像を文字に書き起こしてみると、様々な能力・資質・姿勢などの集合体になるはずです。

獲得を目指しているものをアンカーとして、個々の教育活動の位置づけを再定義してみれば、多くの場合はグランドデザインの中にきちんと納まるはずです。


❏ 獲得を目指す能力・資質と教育活動のマトリクスで

表組を作って、横方向(列)に獲得させたい能力や資質を配置し、縦方向(行)に教育活動を並べ、両者が交差するセルに「指導を経て到達を目指す状態」を書き入れてみましょう。

書き込んだ「目指すべき到達状態」が、より基本的な事柄から次元の高いものに並ぶように、教育活動の順序を入れ替えてみると、3ヵ年の指導計画での時系列を再整理する機会にもなります。

この作業を行うとき大切なのは、入学してくる生徒が中学を卒業するまでに何を経験し、何を身につけているかしっかり把握しておくことです。

多忙の中、他校種の教育活動にはなかなか意識と目が向かないことも多いと思いますが、時には、近隣の公立中学校を覗きに行ってみる必要もあるのではないでしょうか。

 ■ 異校種間での指導を繋ぐ(記事まとめ)


❏ 教育活動の効果測定を学校方法に利用する

如上のマトリクスが出来上がると、学年・学期を追って、どのような能力・資質・姿勢の獲得を目指しているのか改めて明らかになります。

表組の列方向に並べられたのは、達成検証や評価における観点であり、時系列で再配列された教育活動と考査するセルに書き込まれたものは、その時点で到達を目指すべきことがら、すなわち評価規準になります。

評価規準がセンテンスで書き起こされていれば、それぞれに到達した生徒の割合(到達率)を定量的に把握することができます。

新たな教育機会を創出して前と後とで到達率を比較すれば、新たな取り組みの効果を測定できます。

これを学校広報に利用すれば、多くの学校が苦手としている「教育そのものの成果を示すこと」も可能になってくるのではないでしょうか。

特に重要な項目は、学校評価アンケートの質問に組み入れて、生徒・保護者・教職員の認識を質してみることも重要です。


❏ ノイズになりえるものは"見せない"という広報戦略

個々の教育活動の位置づけを見直してみて、グランドデザインの中にうまくはまらないものが残ったしたら、それらは学校の教育目標の達成への寄与が小さいものかもしれません。

教育リソースの最適配分という点では、その教育機会を新課程以降後も継続するかどうか撤退を含めた再考が必要と思われます。

 ■ 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)

再考の結果、グランドデザインとの親和性は低いが、それでも指導目標としてはどうしても外せない、継続すべきとの判断になったら、学校案内やホームページでの見せ方をよく考えなければなりません。

コアとなる教育目標群と同列に並べてしまっては、学校が描く教育像の中で何がコアなのかわかりにくくなります。

現実的なところは、同様の判断を受けたものといっしょに「その他の取組」として一括りにしてしまうことでしょうか。

その5に続く

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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