発問で引き出した生徒の発言をどう扱うか
主体的・対話的で深い学びを実現するのに、生徒同士の対話ばかりを増やしても十分とは言えません。問答を通した先生との対話、教科書・資料・副教材のテクストとの対話の場面をしっかり作る必要があります。生徒を指名してせっかく発言を引き出したのに、その後のアクションを間違えて学びが膨らむチャンスを逃していないでしょうか。
教室を思い出してみてください。もし、生徒の発言を受けて、
❏ 正解であっても理由を聞いてみるのは鉄則のひとつ
発問に対して正しい答えが返ってきたときに、それ以上に深掘りしに行く場面には、教室で授業を拝見していてもそれほど多く出会えません。
なぜそう考えたのかを本人に聞いたり、その答えで良い理由を他の生徒に訊いてみることも必要です。
理由を尋ねてみないと、本当にわかっているのか、当てずっぽうなのか判定できないというのもありますが、自らの考えを他者に伝える能力を育むことも、これからの学習指導における重要な目標の一つです。
新テストのモデル問題にも、証明の方法を説明させる問題があります。
これからの社会では「協働で課題解決に当たる場面において考え方そのものを他者に理解させ、共感と協働を導き出す力」が必要になることを反映しているのではないでしょうか。
❏ 他の生徒の発言をヒントに答えを作り直させる
発問への答えが間違っていたり、答えられなかったりしたときは、正誤判定をいったん留保して、他の生徒にも答えさせてみましょう。
別の生徒には質問の角度を変えてみても良いですし、同じ質問を幾人かに繰り返して聞いてみても良いと思います。
幾人かの発言がでたら、最初に当てた生徒に戻して、答え直させることで、言語活動を完了させることが大切です
これらのプロセスを通して、「他の生徒の発言に耳を傾ける」「それをヒントに自分で考える」「考えたことを言葉にして伝える」という対話の要素をいくつも積み上げていることになります。
間違った/答えられなかった時点で終わり、というのとはだいぶ活動量が違いますよね。
❏ 考えるための材料の不足は、生徒自身に補わさせる
生徒が答えられないときに、先生の側からヒントを出してしまうのでは、生徒は自力で不明を解消する方策を身につけられません。
隣同士で相談させるのも良いですが、教科書や資料集、副教材に載っていることなら、自力で調べさせることも大事です。
第三の「対話の相手」として、教科書・資料・副教材のテクストを通した先人に問い掛けさせ、その答えに耳(目?)を向けさせましょう。
前提になるのは、日頃から参照型教材を徹底して使い倒すことです。
生徒が読んで理解した/不明を解消したら、その結果を改めて言葉にさせてみることが肝要です。
繰り返しになりますが、生徒自身が言語活動を完了させることが、OECDの「キー・コンピテンシー(主要能力)」に挙げられている"言語、シンボル、テクストを活用する能力"を高めるはずです。
❏ 生徒の発言を拾い上げてこそ、キャッチボールに
発問は対話的な学びを作るうえでの柱ですが、生徒の発言を拾い上げて再び投げ返してこそ、キャッチボールが成立します。
ガンガン発問して、生徒が必死に考えて答えを返してきても、先生がそれを拾わないのではノックですよね。
教室の様子を思い出してみると生徒が投げ返したボールがバックネットに向かって転がっていないでしょうか。
生徒の発言が、典型的な間違えや掘り下げるべき誤解を含んでいたら、クラス全体の学びに展開するチャンスです。
その(間違った)考えに沿って解法を進め、袋小路に入り込む様を見せた上で、どこが間違っているかクラス全体(あるいはペアやグループ)で考えてみるだけでも、学びはぐんと深くなるはずです。
先日の記事でご提案した、"教え込むより、調べさせて気づかせる"というアプローチにも通じるものがありそうです。
■ ご参考記事:
発言がなかなか出ない/思考が膨らまないとき
問答を通じて論理性を養う
プロセスに焦点を当てた問い
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一
教室を思い出してみてください。もし、生徒の発言を受けて、
- 生徒が正解できたのでOKとして、そのまま先に進んだ
- 正解に至らないので、ヒントを出して答えを改めさせた
❏ 正解であっても理由を聞いてみるのは鉄則のひとつ
発問に対して正しい答えが返ってきたときに、それ以上に深掘りしに行く場面には、教室で授業を拝見していてもそれほど多く出会えません。
なぜそう考えたのかを本人に聞いたり、その答えで良い理由を他の生徒に訊いてみることも必要です。
理由を尋ねてみないと、本当にわかっているのか、当てずっぽうなのか判定できないというのもありますが、自らの考えを他者に伝える能力を育むことも、これからの学習指導における重要な目標の一つです。
新テストのモデル問題にも、証明の方法を説明させる問題があります。
これからの社会では「協働で課題解決に当たる場面において考え方そのものを他者に理解させ、共感と協働を導き出す力」が必要になることを反映しているのではないでしょうか。
❏ 他の生徒の発言をヒントに答えを作り直させる
発問への答えが間違っていたり、答えられなかったりしたときは、正誤判定をいったん留保して、他の生徒にも答えさせてみましょう。
別の生徒には質問の角度を変えてみても良いですし、同じ質問を幾人かに繰り返して聞いてみても良いと思います。
幾人かの発言がでたら、最初に当てた生徒に戻して、答え直させることで、言語活動を完了させることが大切です
これらのプロセスを通して、「他の生徒の発言に耳を傾ける」「それをヒントに自分で考える」「考えたことを言葉にして伝える」という対話の要素をいくつも積み上げていることになります。
間違った/答えられなかった時点で終わり、というのとはだいぶ活動量が違いますよね。
❏ 考えるための材料の不足は、生徒自身に補わさせる
生徒が答えられないときに、先生の側からヒントを出してしまうのでは、生徒は自力で不明を解消する方策を身につけられません。
隣同士で相談させるのも良いですが、教科書や資料集、副教材に載っていることなら、自力で調べさせることも大事です。
第三の「対話の相手」として、教科書・資料・副教材のテクストを通した先人に問い掛けさせ、その答えに耳(目?)を向けさせましょう。
前提になるのは、日頃から参照型教材を徹底して使い倒すことです。
生徒が読んで理解した/不明を解消したら、その結果を改めて言葉にさせてみることが肝要です。
繰り返しになりますが、生徒自身が言語活動を完了させることが、OECDの「キー・コンピテンシー(主要能力)」に挙げられている"言語、シンボル、テクストを活用する能力"を高めるはずです。
❏ 生徒の発言を拾い上げてこそ、キャッチボールに
発問は対話的な学びを作るうえでの柱ですが、生徒の発言を拾い上げて再び投げ返してこそ、キャッチボールが成立します。
ガンガン発問して、生徒が必死に考えて答えを返してきても、先生がそれを拾わないのではノックですよね。
教室の様子を思い出してみると生徒が投げ返したボールがバックネットに向かって転がっていないでしょうか。
生徒の発言が、典型的な間違えや掘り下げるべき誤解を含んでいたら、クラス全体の学びに展開するチャンスです。
その(間違った)考えに沿って解法を進め、袋小路に入り込む様を見せた上で、どこが間違っているかクラス全体(あるいはペアやグループ)で考えてみるだけでも、学びはぐんと深くなるはずです。
先日の記事でご提案した、"教え込むより、調べさせて気づかせる"というアプローチにも通じるものがありそうです。
■ ご参考記事:
発言がなかなか出ない/思考が膨らまないとき
問答を通じて論理性を養う
プロセスに焦点を当てた問い