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zoom RSS 教科学習指導と探究活動の重ね合わせ

<<   作成日時 : 2018/06/14 07:49   >>

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探究活動にしっかり取り組ませるには様々な土台が必要です。探究の方策を学ばせる機会も作らなければなりませんし、「読んで理解したことを元に考える力」や「質問を立てる力」も育まなければなりません。これらを探究活動にあてた僅かな指導時間で完結させるのは困難です。

こうした土台の大半は、日々の教科学習指導の中で培っていくべきものであり、探究活動は獲得した力を実地の場面で試してみる場面と考えることもできるのではないでしょうか。


❏ 読んで理解したことをもとに思考して表現する力

高大接続改革以降の大学入試でこれまで以上に重視される「テクストを読んで理解したことをもとに、思考した結果を表現する力」は、探究活動を進める上で欠かせない土台です。

探究の前段階である「調べ学習」においても、文献を読んで自力で理解できないことには一歩も前に進めません。

日々の教科学習指導においても、生徒に教科書や資料をきちんと読ませているでしょうか。

先回りして丁寧に説明してあげれば、教科固有の知識は与えることができるかもしれませんが、生徒は「情報を得て知識に編む」必要がなくなり、その力を獲得する機会を失ってしまいます。

教科書をきちんと読ませることは、日々の授業の設計において、最優先すべきことの一つだと思います。


❏ 問いを立て、一つひとつ確かめていく力とその姿勢

自明と思い込んでいたことにも、「本当にそうなのか」「どうしてそう言えるのか」と問いを立てて考えてみる姿勢は、探究活動のテーマを見つける上でも欠かせません。

問いを立てて考える姿勢と方法を学ばせることは、日々の教科学習指導に期待される大きな役割です。普段の授業で、そうした機会がどれくらい持てているか、時々振り返ってみたいところです。

生徒に問いを立てさせることや質問を引き出すことが、先生が用意した問い(設問)に答える/解を導くのとは異なるタイプの力を育みます。

これからの大学入試では、「正解がひとつに決まらない問題」も増えると予想され、そこではどんな問いを立てられるかで答えの方向も完成度も変わり、合否を分けることになります。

ただでさえ不足しがちな授業時間の中で、そんな活動に時間を割く余裕はないとのご意見もあろうかと思います。

しかしながら、日々の生活を営むにも、社会が抱える課題を解決しようとするにも、「問いを立てる力」は必要です。

生徒たちが暮らしていくのが物事を鵜呑みにして生きていける社会でないとしたら、その獲得機会の確保を優先すべきではないでしょうか。


❏ 調べて知ることができる範囲を押し広げる

"認知の網の広げ方〜5教科7科目をきちんと学ぶ "でも書きましたが、各教科を広く学ぶことは、物事を理解/探索できる範囲を広げ、より広く物事を見渡すのに欠かせない土台を作ります。

探究活動を進める上でも、調べてみるべきことに気付くかどうかで、その後の展開は大きく変わります。

「そう言えば、授業でこんなことを勉強したな」という記憶を手掛かりにできれば、行き詰まりかけた探究活動も大きく展望が開けますし、見落としを方々に残したままで終わることも減るはずです。

調べ学習を進める中で参照した書籍や資料を理解できるかどうかも、その土台や周辺となる知識や理解をどれだけ蓄えていたかに依存します。

逆の見方をすれば、探究活動は、生徒が「日々の授業を大切にする必要」を実感する機会なのかもしれません。


❏ 探究活動の成否は教科学習指導の成果を測る指標

このように考えてくると、探究活動の成否は、教科学習指導の効果に依存すると言えなくはないでしょうか。

探究活動の指導に当たる先生だけが頑張っても、学校を挙げて授業のあり方を考えないと、限界は思いのほか小さくなってしまいそうです。

学習指導の成果が、パフォーマンスモデル(何を学んだか)ではなく、コンピテンシーモデル(何ができるようになったか)で測られるようになる以上、そこで培った能力を発揮する場として探究活動を位置づけ、その成否をもって教科学習指導の成果を測定する発想が必要です。

また、探究を通じて生徒一人ひとりが見出す「上級学校に進んで学んでみたいこと」「学んだことを通じた社会との接点」は、進路意識の形成と進路希望の具体化をもたらし、各教科の学びへの意欲を高めます。

こう考えてみると、教科、探究、進路はそれぞれの成果をエネルギーとする循環型加速器のようなものに見えてきます。

加速を繰り返すうちに十分な勢いを得てサイクルから飛び出していくのが卒業して巣立っていく生徒なのかもしれません。

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■ご参考記事:
 教科固有の知識・技能を学ぶ中で
 新テスト対応にも探究活動は土台となる
 探究型学習を使った進路指導


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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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