対話が思考を育み、深い学びを実現する(まとめ)

ここ数年、新しい学力観にそった教え方の転換 が急ピッチで進められてきたものと拝察しますが、2020年以降の新しい入試に初めて挑む学年が高校生となった今、これまでの取り組みの成果を検証し、次のフェイズに向けた新たな課題形成を図る動きも出てきています。

次期学習要領で学ぶ最初の学年も、現在すでに小学校6年生。新課程への取組を伝える学校広報において、改革への意志しか示せない学校と、これまでの取り組みの成果を実証的に示せる学校とでは、地域からのレスポンスも違ってくるはずです。


❏ 対話的な学びを通して実現する「深い学び」

新学習指導要領を読み解くキーワードの一つが「対話的な学び」ですが、日々の教室での教科学習指導においても、
  1. 発問で引き出した生徒の発言をどう扱うか
  2. 生徒の意見や所感をシェアする
  3. コミュニケーション・ツールとしてのICT
といった事柄が、指導技術上の課題になるのではないでしょうか。適切な技術なしには、対話を目指しながら、「おしゃべり」に終始してしまうこともあります。

また、対話というと、生徒同士の話し合いが真っ先にイメージされるようですが、それは「対話的な学び」のごく一部に過ぎません。

問答を通じた先生との対話や、教科書や資料を問いを立てて読む中でのテクストとの対話がきちんと行われてこそ、深い学びが実現します。

教わったことをそのまま覚えただけの「浅い学び」に止まらせることのないよう、教え込むより、調べさせて気づかせることに注力すべきですし、"教わって知ったことvs気づいてわかったこと" という対比の中で、後者がどのくらいの割合を占めているか常に意識する必要もあります。

教室に様々な対話が実現し、生徒が気づきを重ねて多様性を学んだら、仕上げには単元ごとの学習内容の核に「正しい理解」を形成させていきましょう。(cf. 多様な意見と正しい理解(対話をどう収束させるか)


❏ 主体的な学びを支えるのは、学ぶ理由と学び方

もう一つのキーワードである「主体的な学び」は、何はさておき、学ぶことへの自分の理由を持つことが大前提です。

勉強に興味が持てない、将来に夢を見いだせないという生徒もいます。教室は、興味が生まれる瞬間を体験して学ばせる場というスタンスで、日々の授業に臨む必要があろうかと存じます。

また、学び方そのものを学ばせることなしには、教わるまで待つしかない生徒を増やしてしまいます。

もし、教室を見渡して"正解を言って欲しい"と言う生徒が少なくないとしたら、これまでの学ばせ方にその原因があるかもしれません。

拙稿"できない?やらない?やらせてない?" はそんな問題意識から起こした記事です。


❏ 工夫を重ねたら、その効果を検証して次を設計

主体的・対話的で深い学びを実現しようと様々な工夫を重ねてきたら、個々の先生も、教員組織も、そして学校としても、きちんとその効果を測定する必要があります。

善意からの行動であっても、検証と修正のない「やりっぱなし」では、自分の思いに生徒を巻き込んだだけかもしれません。

効果的であることがわかれば校内で共有し、さらなる改善に向けた新しい土台にすべきですし、効果が疑わしければ、別の方法を考える必要があります。

以下の記事でも、検証の方法をいくつか提案させていただきました。もっと良い方法もあるはずですが、まずは「効果検証の機会を設ける」ことを優先すべきです。


❏ 高大接続改革以降の大学入試に対応するには

今後の大学入試では、思考力・判断力・表現力がこれまで以上に求められ、正解がひとつに決まらない問題が増えてくることが予想されます。

そこでは、様々な相手(友達、先生、テクスト)との対話を通して養った「様々な角度から物事を捉え、ポイントを見つけて問いを立てる力」が得点に現れ、合否を分けます。

学習型問題への対応力を養うことも、教室での大きな課題です。

最も深い学びは、自分で立てた問いに対して、解を導く方法から自力で考え、新たな知を生み出す「探究活動」にあるのではないでしょうか。

入学者選抜では、志望理由も合否判定の材料になりますので、探究活動まできちんと踏み込めた生徒が、「学びたいところで学ぶ資格」を得ることになります。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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