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zoom RSS 良いものを選んで重点的に〜探究活動の成果発表

<<   作成日時 : 2018/11/06 08:12   >>

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探究活動や課題研究の成果発表会では、優れたものをきちんと選び出してスポットライトが当たるように工夫する必要があるのではないでしょうか。後輩たちは先輩の発表を見て参考やヒントにしますので、良いものと悪いものの違いが判るように見せてあげないと、適当にお茶を濁したものをみて「あの程度でOK」という誤解をするかも知れません。


❏ すべての成果品を同等に扱うことにメリットはない

ポスターセッションや論文集の編集に先駆けて、審査をきちんと行っているでしょうか。

すべての生徒の成果品を平等に扱うという意図があるのかもしれませんが、倣うべき要素を多く含んでいるものと形を整えただけのものとを同列に扱って表示することには小さからぬ疑問を感じます。

冒頭にも書いた通り、後輩たちは先輩の成果物を見て、自分が取り組むときのヒントや参考にします。

優れたものに触れて「ここまでできるのか/やるべきなのか」と覚悟を決めたり、「これを超えるようなものをやろう」と意を新たにできた場合と、「なんだこの程度でいいのか」と誤解するのとでは、活動に向けた動機付けや方向付けに大きな違いが生じます。

当事者学年にしても、成果発表を機に、上級学校に進んだ先での学びや研究に向けた「反省と課題」をしっかり認識できるかどうかは大きな違いをもたらすはずです。

成果発表会は教育機会ですから、生徒にどれだけ「良い教訓と刺激」を残すかを視点に、慎重にやり方を考えるべきではないでしょうか。


❏ 事前の審査結果を表示方法に反映させる

ポスターセッションでは、最優秀賞や優秀賞、奨励賞などの表示を添えてポスターを貼りだすようにしている学校があります。

倣うべき優れた先例はこれだよと後輩たちに伝えることができますし、セッションの開始に当たり「他のポスターとの違いを考えるように」と一声かけておくだけで効果はさらに大きくなります。

ある学校では、選出の理由や選考委員の評価コメントを添えていたケースもありました。別の学校では、探究活動のルーブリックに照らした評価結果をポスターに添えることを検討しています。

論文集にまとめるときも、最優秀作品は論文の全編を掲載し、優秀賞は見開きページにまとめ、奨励賞はサマリーのみ、その他の作品はタイトルの一覧に並ぶだけ、という明確な差をつけている学校もあります。

別格の扱いを受けた作品を手掛けた生徒は誉を感じて、次に向けてモチベーションを高めるでしょうし、適当に済ませた生徒も全文を掲載されて恥ずかしい思いをせずに済みそうです。

後輩たちに参考にさせたくないものをその目に触れさせないということも、ネガティブな教育効果を残さないために必要な措置だと思います。


❏ 成果発表会は学校の教育力を評価される機会

探究活動や課題研究にしても、その他の学校独自の教育活動にしても、対外的に公開する成果発表会は「生徒の取り組みや頑張った成果」を伝えるだけのものではありません。

学校の教育成果そのものを外に伝えるチャンス/問われる機会と考えるべきです。

発表会を通じて「ここまで頑張っている生徒がいる」「それを支えるシステムがある」ことを伝えられてこそ、自校が取り組んできた教育活動への理解と共感の獲得に繋がります。

地域の中に取り組みの成果をよく理解する人が増えれば、学校が目指す教育像に共感して「ここで学んでみたい」と考える生徒も自ずと増えるはずです。

学校が目指す教育像や育てたい人間像に共感した生徒や保護者によって形成されたコミュニティは、その教育目的の実現を容易にし、そこで得られた更なる成果がより多くの理解者を地域に増やしていきます。

この好ましいスパイラルの起点の一つが教育活動の成果発表会です。


❏ どんな成果品を選出するかは評価規準に沿って

優秀作品を選ぶときの基準は明確にされているでしょうか。調べ学習の範囲にとどまっているようなものには探究活動の成果発表会でスポットライトを当てるべきではありません。

探究活動の課題〜調べ学習との境界と進路への接点でも触れた、
  • 調べ学習と探究活動の境界がどこにあるか理解していない
  • 巨人の肩の上にまだ到達していないことへの自覚がない
  • 選んだテーマに「自分ごと」としての関わりを見出していない
といった問題点を抱えたものを「倣うべきモデル」と後輩学年に誤解させてはなりません。

面白さやユニークさ、プレゼンの巧さで優秀作品を選んでいては、探究活動のプログラムの継続的改善は遠のきます。

成果発表会でスポットライトを当てるべき作品を選び出すときの、評価と審査は、指導の改善に知見を得るまたとない機会でもあります。

成果発表会は、指導を振り返る機会と考えれば、すべての生徒に発表の機会を与えることだけで完了というわけにはいかないはずです。

■関連記事:
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  2. 評価と相互啓発(探究型学習における指導)
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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