現場で頑張る先生方を応援します!

アクセスカウンタ

zoom RSS 非言語情報を言語化する(続き)

<<   作成日時 : 2019/03/04 07:29   >>

トラックバック 2 / コメント 0

大学入学共通テストで求められる読解力は、これまで教室で養われてきたものとはちょっと違うものになりそうです。読み取りの対象は文章として提示された(言語化された)ものだけでなく、表やグラフで示されたデータ、図表でモデル化された考え方、風刺画などに描き出されたメッセージや思想などをどれだけ取り込めるかが問われます。

読み取ったことをもとに考えるにも、そこで考えたことを第三者に伝えるべく表現するにも、非言語情報を言語化する力が必要ですから、そうした力を養う場を指導計画の中にきちんと用意する必要があります。


❏ グラフや表のデータからストーリーを書き出す

教科書や資料集、あるいは入試問題には、様々なデータ(グラフや表)が載っていますが、設問に正解を導くために必要な数値を読み取るだけで終わっていないでしょうか。

数字の動き方や他項目との比較などから読み取れる「データの背後にあるストーリー」の構築と言語化に挑ませることは、広義の読解力と思考力、表現力を鍛える非常に有効な方法かと思います。

日々の授業の中でも、好適な材料に触れたときには、そうしたタスクを生徒に課してみる必要があると思います。

次回の授業で扱うグラフや表を提示した上で、「このデータから何が読み取れますか」と問い掛けておき、次の授業では、読み取ってきたことを発表させたり、ICTでシェアしてディスカッションしてみるのも面白いのではないでしょうか。


❏ 思考のモデル化、モデル化された考え方の言語化

以下は、大学入学共通テストの第2回試行テストの政経からの引用です。

画像

説明文を読み、イラスト化された4つのモデルから「社会全体で最も小さなコストで汚染物質を削減できるスキーム」を選べという設問の選択肢の一つが上の図です。

シンプルな設問条件に加えて選択式なので、正答率は6割台と低くありませんが、上の図に表現されているストーリーを生徒が自分の言葉で説明するとなるとハードルはぐんと高くなりそうです。

設問に正解を導けることと、きちんと理解して言語化できることの間には大きなギャップがあるはずです。

普段の授業でも、図版を見てそこからテクストを読み取り、言語化して第三者に伝える練習は積んだ生徒とそうでない生徒とでは、入試に限らず、社会を生きていく上でも持てる武器が違ってきそうな気がします。


❏ 効果的なプレゼンテーションを可能にする手札作りに

調べ学習や探究活動に取り組ませたときには、プレゼンテーションがつきものですから、生徒はそこで「考えたことを図表にまとめる」というタスクを経験します。

上で述べた、非言語情報の言語化とは真逆のプロセスですよね。

様々な表現形式を知り、習熟していないと、伝えたいものに応じた適切な表現の形を選べず、せっかくのストーリーも相手に伝わりません。

如上のタスクは、そうした様々な非言語情報による表現形式を、その特性や使途とともに深く知るのにとても有効な方法だと思います。

表現のための手札を増やせば、伝えようとする事柄に応じた表現形式を選択するにも、その幅が大きく広がります。

漫然とグラフや表を見ても、必要な情報をピックアップしただけで満足しては、表現形式に関する理解は深まらず、必要な時に取り出すべく自分の引き出しにしまっておくことも容易でないはずです。


❏ 風刺画からテクストを読み解くのも見方を養う好機

朝日新聞の"be on Saturdaybe"に連載されている「サザエさんをさがして」の先週末の記事をお読みになった方はいらっしゃるでしょうか。

"おおつとやまがた カツオが解いた難問は"というタイトルの記事ですが、「おおつ」と「やまがた」というカツオたちの発言に触れて、波平さんが「そんな話はやめなさい」と叱っています。

なんで叱っているのかを理解するには、当時の世間を騒がせた「カービン銃ギャング事件」を知っている必要がありますよね。(私は生まれる前の事件なので、この記事ではじめて知りましたが…)

カツオたちは地理の勉強をしていたそうですが、「大津と山形」が正解となる問いはどんなものだったのかも大いに気になるところです。

記事の末尾には、大阪教育大学の峯明秀教授(社会科教育)の「風刺画からテキストを読み解くことは、新学習指導要領でねらう社会の見方・考え方の技能を育てる鍵」とのコメントが付され、「新聞の漫画は金脈かもね」と記者の一言で締め括られていました。

朝食を取りながら「なるほど」と頷いた土曜の朝でした。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
思考力と表現力を養うには
1 学力の三要素、高大接続改革に向けて1.1 学力の三要素とは〜もう一度考えてみました 1.2 高大接続改革に向けて今できる準備 1.3 高大接続改革に向けて今できる準備(その2) 1.4 評価方法の再整備〜高大接続答申から 2 考察: 大学入学共通テスト&高大接続改革 ★2.0 考察: 大学入学共通テスト&高大接続改革 2.1 モデル問題(共通テスト)を見て #1国語 2.2 モデル問題(共通テスト)を見て #2数学 2.3 新共通テストの採点基準〜正しく適用できる... ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2019/03/29 06:19
非言語情報を言語化する力
与えられたテクストから読み取った情報をもとに思考した結果を表現する力は、今後ますます求められますが、ここでいうテクストは「言語情報」だけではありません。グラフ、データテーブルなどの数値をもとにしたものもあれば、イラストや地図といった平面上に表現されるものなどあらゆるものが含まれます。 ...続きを見る
現場で頑張る先生方を応援します!
2019/03/29 06:21

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
非言語情報を言語化する(続き) 現場で頑張る先生方を応援します!/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる