主体的、対話的な深い学びへ~授業評価アンケート

新課程への移行がいよいよ目前です。高校の新課程を初めて学ぶ生徒は現在、中学1年生。中高一貫校では「新課程で学び高校を卒業していく生徒」が既に在籍しているわけですから、新しい学力観にそった教え方の転換を図る中、学びの評価も新しいものに組み直す必要が出てきます。授業評価アンケートの質問設計の更新は今後の課題の一つです。

学習評価は多面的に行うものですから、当然ながら、新しい学力観に基づく評価方法の導入も併せて進めなければなりませんし、高大接続改革に備えて考査問題も新しいスタイルに切り替えていく必要があります。

今後の学習指導要領改訂スケジュール


❏ 学習評価の4観点から「学力の3要素へ」

現行課程での学習評価は、ご存知の通り、
「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」
の4観点でなされていました。

これに対して新学習指導要領の下では、学力の3要素である
「知識及び技能」
「思考力・判断力・表現力等」
「主体的に学習に取り組む態度」
の3つについて学びの評価(=指導の効果測定)を行うことになりますので、それぞれに応じた指標/測定方法を用意する必要があります。

知識・技能に加えて、思考力・判断力・表現力をきちんと試せる定期考査問題、メタ認知の形成に資するポートフォリオやルーブリックを用いた活動評価に加えて、学習者の認識を直接・間接的に尋ねるアンケートの整備が今後の大きな課題になるということです。


❏ 主体的・対話的で深い学びへの生徒の認識を確かめる

授業評価アンケートにおいては、「主体的・対話的で深い学び」がどこまで実現しているかを試すような質問を加えていく必要があろうかと思います。

例えば、先生がいくら対話の場面を作っても、生徒がその中で「学びの深まり」を実感していないようなら、やり方を改めるべきです。

以下のような問いを質問設計の中に組み込めば、学習者側の認識を定期的・継続的に測定でき、改善の必要を捉えることも、校内にある優良実践をピックアップすることも容易になるはずです。

【対話協働】話し合いなどの協働で、気づきや学びの深まりが得られる。

また、主体的に学ぶには、生徒一人ひとりが「学ぶことへの自分の理由」を持っていることに加え、「学び方(学習方策)や学びに必要な汎用スキル」も身につけてもらわなければなりません。

前者を欠けば、「受動的で消極的な学び」であり、後者を欠けば「依存的な学び」と言えるのではないでしょうか。

こうしたことを鑑みると、授業評価アンケートにおいても新しい項目を加えていくことを検討すべきだと思います。

【学習方策】私は、この科目の学び方や取り組み方が身についたと思う。
【目的意識】私は、自分なりの課題や目的を持って日々の授業に臨んでいる。




上記の「新しい質問項目」のそれぞれについて、明日以降の当ブログで質問文の意図するところや、改善課題を抱えた場合の対処法などを記事に起こしていく予定です。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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