新たなチャレンジに先生方の協働で取り組むとき #INDEX

高大接続改革や新課程への移行がいよいよ目の前に迫り、各地で様々な新しい取り組みが始まっています。パフォーマンスモデルからコンピテンシーモデルへの学力観の転換や「総合的な探究の時間」の指導法など、先生方が協働で最適解を見つけなければならない課題はまさに山積みです。

カギになるのは、「目標をきちんと決め、それぞれが最善と思う方法を試した結果を比較し、その中から最適解を選び出していく」というアプローチを取れるかどうか。次のサイクルでは、その最適解を土台にさらなるブラッシュアップを図ることも求められます。

当然ながら、そこでは効果測定の方法をきちんと用意すること、データを正しく利用し効果測定の結果を受け止める姿勢を持つことが大前提。科学技術やデータサイエンスがもたらす測定や検証の技術が、指導方法の開発手法も大きく変えてくるかもひしれません。

新たな指導方法・教育手法の開発というチャレンジは、まさに「先生方の協働」が試される場面。そうした場面を想定してこれまでに起こしてきた拙稿を標記のテーマでまとめてみました。お時間の許すときにご高覧いただければ光栄です。



  1. 新たな取り組みを始めるときの鉄則
    学校に限ったことではありませんが、新しいことを導入しようとしたときにきちんと踏みたい手順というものがあるように思えます。新しい取り組みの手順と方法だけ決めて「全生徒を対象にいっぺんに実施!」というのでは乱暴すぎるのではないでしょうか。うまくいく保証がないものに全体を巻き込むリスクは無視できません。 決めた手順を実施することは目的ではありません。目的とその達成検証を行う方法から先に考えることが大切です。

  2. 指導案の優劣を論じるときも
    指導案を持ち寄ってその改善協議をするときや、教育実習生にアドバイスをするとき、それぞれの経験や考え方が競合を起こして議論がかみ合わないことがあります。エビデンスなしで論じても、主観のぶつかり合いばかりで、より良い指導法を協働で作り出していくのは難しい。まずは学習目標が何かを確認し、その達成を測る問題・課題を考えることを先行させましょう。いきなり指導方法を論じる場合より、はるかに建設的な議論が行えます。

  3. 先端研究で得られた知見を活かして授業改善 New!
    先週、「授業に集中してる? 生徒の脳、活動量をセンサーで計測」という記事を朝日新聞で見つけました。脳の司令塔と言われる前頭前野の活動量を調べるセンサーを生徒のおでこに付け、授業中に生徒の脳がどれだけ活発に働いているかをリアルタイムに把握するとのことです。この実証実験に限らず、様々な先端研究で得られたエビデンスを自分の授業や学校の教育活動にどう利用できるかどうかは、生徒の学びに大きな影響を及ぼすはずです。

  4. マニュアルありきでの指導にはリスクあり New!
    総合的な探究の時間をはじめ、新しい学力観に沿った新たな教育活動が次々と導入され、その指導法の確立は喫緊の課題です。新たな指導法を考えるときに大切なのは、マニュアル作りを先行させることではなく、目標とするところを教員団がしっかりと共有した上で、それぞれが最善と思う方法で指導に当たり、その成果を比べる中で、より良い方法を選び出していくこと。規矩不可行尽とも言います。規則ばかりでは創意工夫は生まれません。

  5. 新しいことに生徒が戸惑いを見せても
    生徒をそれまでやらせたことがないことに挑ませれば、最初の戸惑いは当たり前のこと。教科書をきちんと読ませる、質問を引き出すといった活動でも、最初からスムーズに運ぶのはむしろレアケースです。最初のトライで上手くいかないからといって挑戦を止めては生徒はいつまでたってもできるようにはなりません。やらせようとしたのが必要なことなら、引っ込めるのではなく、生徒が反応できなかった原因を取り除くことにこそ注力すべきです。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一