指導目標と指導方法が変わったら定期考査の問題も

教科学習指導に限ったことではありませんが、「目標とするところ(学習目標)」と「目標に到達するための方法や計画(指導法・計画)」の間には高い整合性が保たれていなければなりません。両者がズレていては目標に近づくことすら難しくなります。

また、指導がどこまで成果を得たかを測定する評価方法も、学習目標にマッチしたものである必要があります。目標までの距離を正確に測れないことには、どうやって接近するか作戦も立てられないからです。


高大接続改革や眼前に迫る新課程で、獲得を目指すべき学力は大きく変わってきました。出題内容に「現場への配慮」が強く出ていたセンター試験と比べ、新テストの試行問題では「中高の授業はかくあるべき」とのメッセージが大きく前面に出てきています。

そうした中で、指導方法(教え方、学ばせ方)には様々な工夫が重ねられ、主体的、対話的で深い学びの実現が図られてきているように思いますが、その一方で、定期考査などの評価方法は、知識・技能と思考力・判断力・表現力をバランスよく測定できるものに転換が進んできているでしょうか。

定期考査の問題が従来と変わらないようでは、新しい学力観のもとでどれだけ学ばせ方の工夫をしても、その成果を点数という結果に反映させることができません。

先生方の側では、指導の効果を正しく測定できませんので、新しい手法がどこまで効果を得ているのか確かめられず、より良い授業の実現に向けてどこに手を入れれば良いのか判断ができなくなります。

生徒の側でも普段の勉強とテスト勉強にそれぞれ別の捉え方で取り組まなければならないという「ダブルスタンダード」を強いられるうえ、頑張っても手応えは曖昧になり、次の学びに向けてのモチベーションも高まりません。


これまでに幾度も繰り返されてきた学習指導要領の改訂に際し、「入試は変わらないのだから新課程の理念通りの授業はできない」といった反応があったかと思いますが、指導法ばかり考えて、定期考査の刷新が遅れたら、これと同じようなことが教室の中で起きてしまうのではないでしょうか。

きちんと勉強してきたらテストでも納得のいく点数が取れたという「努力と結果の一致」は、学びに方向性を見出し、安心して先生の指導についていくために欠かせない条件だと思います。

授業評価アンケートで「学力や技能の向上、自分の進歩を実感できる」かどうかを尋ねるときも、授業開きで先生方が伝えたこと、日々の授業で体験していること、定期考査に挑んで得た手応えが一致していないと、生徒は正しい判断ができなくなってしまいます。


高大接続改革と定期考査問題(記事まとめ)を新たな記事を加えてアップデートしました。お時間の許すときにご高覧いただければ光栄です。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一