課題解決の場を整えたら、挑ませる前に理解の確認

習ったことを使ってみる機会を調えることが学びを深く確かなものにすることはこのブログでも繰り返しお伝えしてきた通りです。

授業を通して学んだことを活用して解決する課題を導入フェイズで示しておけば学習目標の理解が高まり、学び終えて課題の答えを仕上げさせればそこまでの学びに欠けていたものが補われるという2つの効果が相乗的に働くことに加え、協働で解決を図る課題がセットされてこそ、対話的な学びにも目的が生まれ、より活発なやり取りが生まれます。

しかしながら、せっかく活用機会(=習ったことを使ってみる機会)を設けても、そこまでの理解の確認が足りないと学びの成果をスポイルします。課題解決の機会を整備したら理解確認にも一層注力しましょう。


❏ 知識活用の機会を設けても、理解確認が不十分では

下図は授業評価アンケートのデータ(n=4,749)で作成したものです。横軸には「Ⅵ活用機会」(宿題や課題など、習ったことを使ってみる機会が整えられている)、縦軸には「Ⅳ理解確認」(先生は、生徒の理解を確かめながら授業を進めてくれる)の得点を配しました。

散布図(Ⅳ×Ⅵ~Ⅶ).jpg
座標面を区切る縦・横の破線は、それぞれの軸に置いた項目の中央値の位置を表します。なお、全授業を「Ⅶ学習効果」(授業を受けて、学力の向上や自分の進歩を実感できる)の得点で3分割し、上位と下位それぞれ3分の1に含まれる授業だけを表示してあります。

散布図では上下方向のばらつきが大きいことが見て取れます。実際のところ、Ⅵ活用機会とⅣ理解確認の相関は0.67に過ぎません。知識や理解を活用する場面を十分に整えながら、理解確認が十分に図られていない授業も少なくないということです。

上図の第四象限{Ⅵ活用機会≧中央値、Ⅳ理解確認<中央値}に分布する授業の多くは、「学習効果下位群」に含まれています。


❏ 知識・理解を使ってみる前に、そこまでの理解を確認

学びを深く、確かなものにする上で不可欠な「習ったことを使ってみる機会」を具体的な課題としてセットしたら、それに挑ませる前に、そこまでの理解が正しく形成され、知識が確保できているかをきちんと確かめるようにしましょう。

知識や理解が不足するまま、課題に挑ませても返り討ちに会うリスクが高まるばかりです。

真面目に授業を聞いていたつもりなのに、問いに答えが導けない、課題が解決できないという場面を繰り返すうちに、生徒は学びへの自己効力感を失い、苦手意識を膨らませて行きます。

例題を使って理解させたことは、生徒にペアを組ませて、類題の解き方を互いに説明させるなどの方法できちんと言語化させましょう。

仮に理解が不十分であっても、互いに説明し合う中で、教え合い・学び合いもできますので、理解の補完もかなりのところまで生徒同士で補えるはずです。

また、生徒同士のやり取りに耳を傾けていれば、どこまできちんとわかっているかを観察できますよね。(cf. 活動させるのは観察のため

もしクラス全体で理解に不足があるようなら説明を加えたり、教科書や副教材を参照させたりといった対処を取れば良いだけの話です。

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一