諦めない心は諦めたくないものを見つけた人に

11月も半ばを迎え、最上級生はいよいよ進路希望の実現に向けて本格的なスパートに入ったものと拝察します。一方で、ここから先は弱気の虫も騒ぎ出しやすい時期。期末考査の終了後は登校日も少なく、周囲の頑張りや先生の励ましに触れ気持ちを新たにする機会も減りがちです。

"受験期はまたとない成長の好機" です。苦しく感じるのは頑張っている証拠ですから、受験を終えたときに気づく自分の成長を楽しみに、ここは最後まで「諦めない心」をもって踏ん張って欲しいところです。


❏ これまでに重ねてきた選択に改めて向き合う時間

タイトルにした「諦めない心は諦めたくないものを見つけた人に宿る」というのは、先日放送された「なつぞら紀行~柴田牧場はこうして生まれた~」という番組のなかで、脚本家・大森寿美男さんがおっしゃっていた言葉です。

受験期終盤を迎え、思ったほど成績が伸びない、計画通りに勉強が進まないといった逆境にあっても、諦めずに最後まで頑張り通せるかどうかは、進路希望を作る工程で「諦めたくないもの」を見つけられたかどうかにかかる部分が大きいのではないでしょうか。

今さら時計を巻き戻して進路希望を作る工程を踏み直すことはできませんが、受験期の第四コーナーに差し掛かるこのタイミングでこそ、
  • なぜ自分はその場所を目指しているのか
  • 実現したいと思ったこと(学びたい/やりたいこと)は何だったか
を自らに問い、これまで積み上げてきた自分の選択に向き合ってみるのは「諦めたくないこと」の再発見に繋がるのではないでしょうか。

余計なことにかける時間はないこの局面です。朝のホームルームなどのわずかな時間を使い、生徒に考えさせてみるのも悪くないと思います。


❏ 推薦・AOで進路が既に決まった生徒にも

この時期になると、推薦・AO入試ですでに進路が決まっている生徒も少なくないはずですが、そうした生徒にも、決定した進路の中で自分は何に取り組み、何を実現していこうとしているのか、しっかり考えさせたいところです。

もう一度、志望理由書や学修計画書を起こし直させてみるのも、拓くべき自分の未来に向き合わせる絶好の機会になると思います。

願書を出したときと同じようなことしか書けないようなら、これまでの数か月の歩み(成長や気づき)は大したことがなかった、ということですよね。選択したものに本気で関心を向けていれば、何かの上積みがあったはずです。

決まった進路の中にこそ、探索すべきものは少なくありませんし、これまで覗いてみなかった世界を書物などを通して勉強してみることでも、進むべき道に新たな意義や価値が見出せるのではないでしょうか。

4月に始まる新生活に向けて、今のうちに何をやっておくべきか、思いつくものを書き出し、優先順位をつけてスケジュールに落とし込んでみるように指示してみるのも良いと思います。

大学での学修に必要と思われる科目でも、履修していなかったり、受験に使わなかったので仕上げていなかったりすることもあろうかと思います。今のうちに片づけておかないと、大学に入ってからの本来の学びで躓くことにもなりかねません。


❏ 未来を拓く第一歩で諦めさせない

ますます変化が加速していくであろうこれからの社会では、あたかも扉を「開く」ように次につながる通路を辿っていけるとは思えません。

おそらくは、張り出す幹や枝を切り落とし、橋を架けるように、最適解の定まらない課題を解きながら、まさに道(未知)を「拓く」ことが、今の生徒たちには求められていくのではないかと思います。

こうした時代にあって、開拓民の家族の中で育ちアニメーションという新たな世界を拓いた主人公の姿をドラマの中に描いた脚本家の「諦めない心は諦めたくないものを見つけた人に宿る」というメッセージには、どこか感じ入るものがありました。

生徒にとって、受験期のつらさ・苦しさの中、諦めずに最後までベストを尽くしたという自信を得られたことや、諦めずに頑張ればそこで得られるものが何かあると学べたことは、その後の人生を拓かなければならない場面で大きな支え・糧になるはずです。

未来はやすやすと拓けるものではなく、拓こうとする以上、それだけの覚悟も必要です。覚悟を生み出すのはまさに「諦めたくないもの」でしょうし、覚悟があるからこそ頑張り切れもします。

生徒にとってしんどい時だからこそ、「諦める」というカードを最後の最後まできらせないよう、選んだ進路に改めて向き直させましょう。

パンフレットやホームページに「未来を拓く」という言葉を掲げている学校も少なくありません。言葉にした以上、その実現にはできる限りを尽くしたいところですよね。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一