年末に行わせる「4月からの学びの振り返り」

期末試験の時期を迎えました。答案返却日には、生徒はここまでの期間に重ねてきた学びの成果を、点数というひとつの指標に照らして確認することになります。考査が終わった解放感もあるでしょうが、ここできちんと振り返りをさせることが先の歩みを大きくさせます。

思ったほど成績が振るわなかった生徒もいるでしょう。「まあ、仕方ないよね」と開き直られても一歩も前に進みませんし、悪い点数を前に落ち込んでいるだけでも同じです。そこそこの成績だった生徒も、それに満足してはさらなる成長のチャンスを逃します。


❏ 間違い直しを通して、学習行動を振り返る

成績が振るわなかった生徒には、より良いパフォーマンスを得るためにはどうすれば良かったか、答案の間違い直しをする中で、自らの行動を振り返って改めるべき点を洗い出させる必要があります。

模擬試験の場合と同様に、間違えた問題をやり直すだけでは、学び方の改善にはつながりません。

正解できなかったのは、知識や理解の欠落によるものですが、その欠落を生じさせた根本的な問題は、ここに至るまでの学習行動にあります。

大半の場合は、勉強に当てるべきだった時間を、他のことに費やしてしまった/やるべきことを後回しにしてしまったということなのでしょうが、「これを優先すべきだった」と気づいただけでは不十分です。

なぜ優先順位を間違えたか、いくつもの問いを重ねて掘り下げ、そこに見出した根本的な原因に応じた具体的な作戦を講じてこそ、次の機会に同じような失敗を繰り返すことが避けられます。


❏ 考え違いがどこにあったか理由を掘り下げて考える

頭では大事なことだとわかっていることをなぜ後回しにしてしまったのか、そのときの自分を思い出してみることが大事です。

優先すべきことを脇に置き、余計なことに多くの時間を費やしてしまっていたのにも、そうしてしまった理由があるです。

どんなことに余計な時間を使っていたのかを明らかにしたうえで、
「それは本当に必要なことだったのか」
「どうして(余計なことに)夢中になってしまったのか」
「そこで消費したものに見合ったものがもたらされたか」
「もしその時間を別のことに当てていたら何ができたか」
を考えてみるだけでも、損得計算というか費用対効果が認識されますので、軽症ならば一定の改善効果があるかもしれません。

こうした働きかけがいっこうに奏功しないようなら、学んでいることの重要性をきちんと認識できていないのかもしれません。頑張っても役に立つとは思えなければ、目先の楽しさを優先するのも当然です。

(もちろん、個別にカウンセリングが必要なケースもあるでしょうし、ネット・スマホ依存症が疑われるようなら、専門家へのコンサルも考えなくてはなりません。)


❏ 学ぶことへの自分の理由を見つけさせる仕掛けも

優先して取り組むべきだったことの重要性をきちんと理解していなかったとしたら、教える側にも省みるべき点があったはずです。

日々の学びの中に「学ぶことへの自分の理由」を見出させる仕掛けは、十分に講じることができていたでしょうか?

一つ先のステージに進んだときに必要になる学びの姿を生徒が想像できる形で伝えること、今学んでいることがどんなところに繋がっているかを示すことは、指導者に期待される大きな役割です。

生徒がいずれ挑むことになる大学入試での出題例を授業の中で取り上げて見せたり、社会が取り組んでいる課題との関わりに言及したりと、打てる手は色々とありそうです。

教科書の先のページある関連項目に触れてみたり、次の学年で用いる教科書から関連する部分をプロジェクタで映示して見せたりといったちょっとした工夫が奏功することもあります。

生徒には、「ひとつの学びはその場で完結するものではなく、次の学びの土台になったり、思いもよらぬところでパズルを完成させる最後のピースになったりする」ことをきちんと伝え、その実例を示してあげる必要があり、それができるのは先生方だけです。


❏ 学習量ではなく学習の質に問題があるケース

成績が思ったように伸びない場合、学習時間などで把握できる「量」の問題だけでなく、学習の「質」に問題があるケースも多いはずです。

習ったことを覚えることが勉強であるとの誤解を抱いたまま、反復方策だけで対応してきた生徒は、自力で解法を考え出すことへの意識が希薄な傾向があります。

予習でも、指定された問題の正解を見つけることが目的と誤解しては、どこかで手に入れた解答を写してくることに走ります。これでは調べる力も考える力も養われず、当然ながら模擬試験などの実力が試されるテストでは点数も伸びません。

定期考査の結果を踏まえた「これまでの学びの振り返り」を正しく行わせるためには、定期考査そのものが「習ったことを覚えることに終始しては対応できないもの」であることが大前提です。

 ■ ノート持ち込み可の定期考査がもたらすもの


❏ 成績が伸びた生徒にもきちんと振り返らせる

成績の良かった生徒も「よく頑張った」と自分を肯定的に評価するだけでなく、4月から/9月からここまでに自分がどれだけ学習者として成長したのか、学習行動を視点に振り返ってみるべきだと思います。

どのように学びを進めてきたことが好成績につながったのか、きちんと考えてみることは、その後の学び方をブラッシュアップすることにも繋がるでしょうし、自らの工夫が当を得たものであったことを知れば自信にもなります。

ポートフォリオに残った、こうしたポジティブな振り返りの記録(リフレクション・ログ)をクラスや学年で上手に共有すれば、他の生徒にも大いに参考になります。

学び方の改善にも、相互啓発は積極的に活用したいところです。

もしかしたら、先生方が授業開きで伝えた方法よりも、現代の生徒にマッチしたものが生徒の工夫の中に生まれているかもしれません。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一