解くべき課題で「何のために学んでいるか」を伝える

単元内容が明示され、何を学び、何を身につけるべきかを明示されたとしても、その前段階として、「何のために学ぶのか」という問いに答えが示されない/見いだせないことには、学習者は「学ぶことへの自分の理由」を持てないのではないでしょうか。

自分の理由がなければ、所詮は他人事。身を入れて学ぶ気にならなかったとしても、学習者を責めるわけには行かないような気がします。

教科・科目に固有の知識や理解の獲得は、学びを進める上で欠かせないものではありますが、新しい学力観のもとで問われるのはそれらが「生きて働いているかどうか」です。

何のために学ぶのかという如上の問いは、「学ぶことがどのように生きて働くのか」と言い換えられるのではないでしょうか。知識・理解が働くのは、それらを用いた課題解決の場にほかなりません。


❏ 何を学ぶか=どんな問いに答えるのか

先生方は、各教科の専門家として、その科目の存在意義や学びを進めた先にあるものを知っていますが、生徒はこれから学ぶところ/学びの途上にありますので、同じ景色は見ていません。

これから学んで獲得する知識や理解を用いて解決すべき課題を示すことで、どんな問いに答えを導こうとしているのかをイメージさせるのは、授業や単元の導入を効果的なものにします。

問いを投げかけられて、「なぜだろう」「どうなっているんだろう」と疑問を持てば、それを解明したいとの欲求が生まれます。自らのうちに生まれた欲求を満たすことは、もっとも原初的な「学ぶことへの自分の理由」になるはずです。

  1. 隠されているものは覗きたくなる
  2. 論点(イシュー)を使った単元導入
  3. 学習目標は解くべき課題で示す


❏ 学び終えたら最初の問いに立ち戻る

その日の授業や単元の学習を終えたときに、その問いに立ち戻り、自分の答えを仕上げようとすれば、解消されずに残っている不明の所在に気づきますので、教科書や参考書をもう一度開く動機も得られます。

答えを仕上げ切ることができれば、そこには達成感も得られますし、学びを通した自分の進歩/成長にも気づきます。これらはある種の快体験ですので繰り返したくなるものであり、次の学びに向けたモチベーションの原資として働いてくれます。

生徒が取り組むべき「答えを仕上げる工程」を先生が不用意に肩代わりしないことも大切です。

生徒は、正解や模範解答を示された瞬間に、それ以上考えることを止めてしまい、「答えを覚えること」に頭を切り替えてしまうからです。

  1. 結論を出さずに終える授業
  2. 答えを仕上げる中で学びは深まる
  3. 質問を引き出す~学びを深め、広げるために同(続編)


❏ 問いを立てる力は、学び続けるための土台

テストがある、課題を提出しなければならない、というのは生徒が自らの意志で作った状況ではありません。他人が作った理由で学んでいる限りは、その理由がなくなった瞬間に学び続ける必要もなくなります。

社会の変化や科学の進歩で新たな知識が日々生み出され、更新されていく世界では、学びを止めるわけにはいきません。

日々の生活を送る中で出会う情報の中に、問いを立てられるようになれば、そこから新たな学びが生まれるはずです。

教科学習指導の中で、生徒自身が問いを立てる練習を積ませることは、そうした力を養うために欠かせない場です。探究活動はその力を一段上のレベルに引き上げる好機ですが、各教科の学びの中での訓練なしには形だけのものになってしまうはずです。

  1. 生徒に問いを立てさせる
  2. 探究から進路へのきっかけを作るプラスαの一問
  3. どんな問いを立てるかで授業デザインは決まる


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一