LHRで授業評価を行うことのメリット

生徒による授業評価アンケートには、授業毎に教科担当の先生が教室で用紙を配って実施するパターンと、ロングホームルーム(LHR)内でクラス担任の先生の指導のもと全授業について一度に実施するパターンとがありますが、どちらが良いかとのご相談を受けることがあります。

結論から言えば、LHR内での実施の方がメリットが多いと思います。大学のように学生ごとに履修科目がバラバラ、ホームルームが実質的に機能していない場合は、前者を選択せざるを得ませんが…。

数々あるメリットの中で特に大きいものは、
  1. 用紙の配布や回収に要する時間と手間を削減できる
  2. 授業評価の目的などをしっかり伝えられる
  3. 学びの振り返りとセットにした指導ができる
  4. 教科担当者への気兼ねのない率直な回答が得られる
  5. といったところでしょうか。指導時間という限られた教育リソースの有効な活用にも、授業評価の目的にマッチした実施にも繋がります。


    ❏ 用紙の配布や回収に要する総時間を短縮できる

    授業評価アンケートをLHRで実施することの最大のメリットは、配布と回収が一度で済むことです。

    一つの授業について10個の質問に答えるのに3分かかるとして、15科目を評価しようとするときの正味の回答時間は45分ですが、アンケートを実際に行うときには、これに用紙の配布と回収の時間が加わります。

    配布・回収に要する時間は、無駄と言えば無駄です。授業毎に教科担当の先生がこれを繰り返すとしたら、評価対象となる科目数だけこの無駄を重ねることになります。

    LHRで実施する形式なら、これを1回で済ませることができますし、回答を終えて時間を余した生徒は、次の授業の予習をするなり、宿題を片づけるなり、他のことに手空き時間を活かせます。

    アンケートに不慣れな生徒などが、回答に時間がかかってしまい、1回のLHRで全ての授業に答えきれないという場合、LHRで講義座学系の授業に答え、帰りのHRを少し延長して実技実習系の授業に回答させることもありますが、それでもトータルのロスは小さく抑えられます。


    ❏ 授業評価の目的などをしっかり伝えられる

    実施に当たり、担任の先生から授業評価アンケートの主旨をしっかりと説明できることもLHRでの実施のメリットの一つです。

    アンケートに回答させる前に、授業評価の目的をきちんと伝え、回答に際しての心構えや注意点を周知する必要がありますが、各科目の担当者で言い回しが変わってしまっては困ります。

    授業評価アンケートの実施に先駆け、先生方の間で主旨と生徒に伝えることの確認をしっかり行うにも、実施の場に臨む先生方の事前のコミュニケーションは欠かせず、学年会などをその場として利用すべきです。

    教科担当の先生には非常勤の方もいらっしゃいますが、そこまで負担をお願いしていいものかも悩むところですし、事前の打ち合わせに参加してもらうのは契約外になってしまう恐れもあります。

     ■ 授業評価の事前指導と結果のフィードバック


    ❏ 学びの振り返りとセットにした指導機会として

    定期考査の最終日や考査期間に入る時期などに授業評価アンケートの実施日を設定しているケースが大半ですが、単にアンケートを取る機会としてではなく、区切りを迎えての「それまでの学びの振り返り」の場として指導に役立てることも検討したいところです。

    新しい学力観への転換に併せて、授業評価アンケートの質問設計を更新する学校が見られるようになりました。従来からの評価項目の一部に代えて、以下のような項目を加えるケースはその好例です。

    【学習方策】この科目の学び方や取り組み方が身についたと思う
    【目的意識】自分なりの課題や目的を持って日々の授業に臨んでいる

    アンケートに限らず、尋ねられるとそこに思考を巡らすのは生徒に限ったことではありません。内省すべきことを質問文として提示されれば、生徒は自ずとそれまでの自分の学びを振り返ります。

    しかしながら、ひとつの授業だけを取り出して振り返ってみてもそこに基準を持ちにくく、振り返りは感覚的なものになりがちです。

    別稿で申し上げた通り、適切な振り返りには相対化が必要です。様々な科目について同じ質問文に照らして、一度にまとめて振り返ってみるのは、生徒にとっても有益なことだと思います。


    ❏ 教科担当者が目の前にいると答えにくい

    各科目の担当先生が、自分の授業の中でアンケートを取ると、目の前に先生がいるだけに、生徒は答えにくさを感じるものです。

    ましてや、回答している間に先生がいつも通りに机間指導(巡視?)で教室内をうろうろしては、「わかりにくい」「学力が伸びない」に〇をつけるのはちょっと勇気がいりますよね。

    教科担当の先生がいないところで、心理的なバイアスなく率直に答えてもらうことは、授業改善の課題を見つけ出すために不可欠な正確な回答を集めるための必須要件の一つだと思います。

    担任の先生もたいていの場合はそのクラスで授業を持っていますので、生徒がアンケートに答えている間は、黒板の前からできるだけ動かず、生徒の手元をあまり覗き込まないようにして、余計なプレッシャーを与えないようにしたいものです。

    生徒が忖度(?)してしまえば、先生は自らの授業の改善課題を見つけにくくなるばかりです。


    教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


    授業評価&生徒意識アンケート