教室でしかできない学びを充実~問いを軸に授業を設計

臨時休校解除後の教室では、授業日数の不足やコマ数確保のための短縮授業も想定されます。今までと同じように教えていては、カリキュラムの消化すらおぼつかず、深く掘り下げた学びは困難になります。別稿でも触れた通り、「個人で出来ることと教室でしかできないことを切り分けて後者に重点」をおいた授業デザインが求められます。

教室でしかできない学習活動にきちっと軸足をおいた授業をデザインするには、その日の授業や単元を学び終えたときに生徒が答えを作るべき問いをターゲット設問とするのが効果的です。

問いを起点とする授業デザイン.png

問いが決まれば、答えを作るのに必要な事柄(=獲得させるべき知識や理解、習熟すべき手順に加えて問題の捉え方など)も自ずと決定しますので、授業で何を学ばせるのかがはっきりします。

学ばせるべきものがはっきりしたら、それぞれをどんな方法で獲得させるのかを考えましょう。言うまでもありませんが、説明を聞かせて理解させるだけでは学習方策の獲得も進みません。

  1. 教科書や資料を自力で読ませ、理解させる
  2. 個々に考える/周囲と話し合う中で気づかせる
  3. 説明を聞かせて理解させる(手掛かりができたら 1. や 2. に戻す)

1.でカバーできる範囲が広がれば、生徒の自学自習(予習や復習)に回せるところが増え、対話的な学び、協働での課題解決などの教室でしかできないところの充実が図れます。

ターゲット設問に答えを導くことができれば、その日の授業/単元で学んでいることの軸となる理解は形成されていますので、周辺知識の補完や拡充は、サブノート式のプリントを用意して、教科書や副教材を読んで穴埋めするタスクを与えれば生徒自身にも十分に出来るはずです。

そうしたタスクの経験を重ねることで、「個人で出来ること」が増え、教室でしかできないことの充実をさらに図りやすい状態が作れます。

なお、休校解除後の教室では、グループワークによる生徒同士の対話に制限が掛かると思います。島型の机配置よりもICTの活用(cf. 対面以外の環境で実現する対話的な学び)を優先したり、先生との問答、文字を介した先人との問答(=読んで理解する学習)を充実させたりすることで対話の不足をカバーする必要があると思います。


問いを設定することは、生徒が自ら知の地平を押し広げるきっかけを与えることに外なりません。問題意識を持てばそれを解消するために必要な知識や理解を得ようとする意欲も生まれます。問題意識というサーチライトを点灯してこそ、暗闇に隠されていたものも発見できます。

授業を終えて記入させるリフレクション・ログなどに「今日の学びで意義深かったことは何か」というお題を与えてみましょう。

ぼんやりしたものや的外れなものしか出て来ないようなら、ターゲット設問そのものが好適性を欠いたか、問いを認識させるための「学びのウォーミング・アップ」が足りなかったかのいずれかです。

ちなみに、シラバスや年間授業計画を起草するときも、ターゲット設問への言及は効果的です。



これまでに起こした拙稿から、ターゲット設問と授業デザインに関するものをピックアップしてみました。何かのご参考になれば光栄です。

  1. どんな問いを立てるかで授業デザインは決まる
  2. 解いたことで成長ができる問題こそが"良問"
  3. 単元ごとに設定するターゲット設問
  4. 学習目標は解くべき課題で示す
  5. 活動性と学びの成果を繋ぐ鍵~課題を通じた目標理解
  6. 解くべき課題で「何のために学んでいるか」を伝える
  7. ターゲット設問を分割~小さな問いで場面ごとの理解確認
  8. 理解を確認した後のフォローに不要な時間を取られない


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一