現2年、現1年に対する、進級を見据えたゼロ学期指導

昨日アップデートした「ゼロ学期を迎えるに当たり~指導計画作りへの下準備」では、新年度を迎えるための校務に焦点を当てましたが、もう一つ忘れてはいけないのが、来春に進級する生徒に取らせる「新年度に向けた準備」だと思います。

春に最上級生となる現2年生は、来年度の履修科目選択の希望を提出したことで「受験生」になる第一歩を踏み出したことになりますが、ここで歩を止めさせず、二歩め、三歩めと続かせないと、4月を迎えてなお自分の未来に向き合いきれないという事態になりかねません。

入学から7~8か月を経過した現1年生についても、どこまで正しい学びの姿勢と方策を身につけ、自ら学び続けられる「自立した学習者」に近づけているか、先生方の観察と、生徒自身の振り返りで点検してみるタイミングを迎えていると思います。


❏ 受験学年を迎える生徒に対して

現2年生に対するゼロ学期指導は、どのように計画されているでしょうか。履修科目の選択希望を提出したことで自分の将来に目が向いても、そのまま年度末までを過ごさせては、選択の結果に向き合いきれず、進級した後もなすべきことに集中しきれないという生徒も出てきます。

生徒一人一人が、「自分の選択に向き合える」ように支え、導いていくことは、3年ゼロ学期の指導における重要な目標だと思います。新年度の始まりに「第一志望宣言」がきちんとできることがターゲットです。

4月になって「さあ、第一志望宣言を書いてみよう」とのタスクを課されたときに、きちんと書けない自分に焦りを感じたり、途方に暮れてしまったりする生徒がいます。(中には悔しさで泣き出す生徒も…)

十分な準備期間が残っている「ゼロ学期の始まり」に、第一志望宣言の下書きに挑ませることで、まだ向き合えていないこと(=迷いが残っていること)や改めて調べてみるべきことの所在に気づかせ、残りの3か月にやるべきことをしっかり認識させることが、予防策になり得ます。

志望理由書や学修計画書のフォーマットを生徒に見せて、自分なら各記入欄にどんなことを書くかを考えさせてみたり、先輩たちが書いて残した第一志望宣言の中から特に優れたものを選び出して提示してみたりといった事前指導も効果的なようです。

 ■ 志望理由を言葉にしてみる~ゼロ学期の始まりに

また、ゼロ学期には、意識啓発を目的とした進路関連行事もいろいろと予定されていると思いますが、どんな準備をさせて行事に臨ませるか、行事を終えたときにどんな振り返りをさせるかによって、行事の効果は全く違ったものになります。

当然ながら、そうした行事にどんな気構えを生徒に持たせるか、そもそも何を目的に参加させるのか、先生方がしっかり目線を合わせておかないと、指導のありようも、行事の効果もクラスでまちまちになります。

 ■ 進路意識の高揚を目的とした講演会の企画
 ■ 進路講演などに向けた事前指導

3月には、受験学年のスタートに向けて、指導は新たなステージに進みますが、そこで円滑な移行ができるかどうかは、12月から2月までの指導で行う「準備」しだいだと思います。


❏ 高校生活の5分の1を経過した現1年生に対して

4月に入学した現1年生は、12月を迎える段階で「高校生としての7か月間」を過ごしたことになります。入学から卒業までは35か月とすると、既に5分の1を経過していることになります。

卒業させるまでに獲得させたいもの(=指導目標)は多岐にわたるはずですが、その一つ一つが「最終目標」に照らしてどこまで達成できているかを見極めておきましょう。

これを怠ると、先生方がこの後の指導をどう進めるかも、生徒がどんな問題意識をもって日々の学びに向き合っていくかも、あいまいになってしまうのではないでしょうか。

当然ながら、考査や模試の点数に現れる結果学力の獲得も全力を挙げてコミットすべきものでしょうが、学びに向かう姿勢とそのときに必要な学習方策、自分の状況を客観的に捉えてこれから何をなすべきかを見いだす「メタ認知」なども、獲得すべきものには含まれます。

こうしたものの獲得状況の「中間検証」に取り組ませ、今後の見通しを立てさせる指導の機会として、年末は好適なタイミングだと思います。年明けからの行動を変えてみれば、3か月先の新年度にはかなりのところまで習慣としての確立も期待できるはずです。

 ■ 年末に行わせる「4月からの学びの振り返り」
 ■ 模試の結果を正しく振り返る(学習行動の改善)

この機に学びを振り返り、取り組み方を変えれば新年度早々に予定されている模試や実力テストにも結果がでると思います。部活と学業の両立を図れるようになり、自信をもって学びに向かえるようになった生徒の前には、これまでより大きな可能性が広がるのではないでしょうか。



当然ながら、受験に挑む現3年の生徒たちへの指導にも全力を投じなければなりません。これまで育てて来た生徒が、進路希望を実現できるかどうかの瀬戸際であると同時に、ここでの過ごし方は、本人の成長をまったく違ったものにするはずです。

 ■ 最終局面での進路指導~出願校選定から卒業まで(全5編)

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一