指導計画は所期の効果を得ているか~中間検証の準備

新学期が始まって数週間が経過し、学校もようやく平常運転と思っていたところに、緊急事態宣言の発出などで分散登校やオンライン授業への切り替えを余儀なくされている地域もあります。

本年度の教育活動にも年度末の段階で計画した通りに進めるのが難しい部分が出てきているのではないかと思い、各地の学校のご様子をお伺いしてみると、計画に多少の変更はあっても、様々な工夫を凝らしたことで、成果が期待できる状況にあるとのお話も多く聞かれました。

別稿「教育手法開発・指導法改善に向けた計画作りは万全?」でも申し上げた通り、効果を得たチャレンジは、きちんと効果を示すデータを揃えて、しっかり実践の共有を図っていく必要があろうかと存じます。


❏ 1学期を終えるまでに中間検証+夏に補完と計画修正

年間を通した教育活動でも、年度末まで一気に走ってから成果を検証するのと、中間段階で成果を確かめつつ、改善課題を特定し必要な修正を施していく場合とでは、最終的な成果も大きく違ったものになります。

途中の補完や計画変更に伴う再準備には、ある程度の時間がかかりますので、平常授業期よりは多少なりとも余裕が持ちやすい夏休みをそれに充てることができるようにしたいもの。

データを集めて分析する期間と、その結果を踏まえて作戦の修正を考えるのに必要な時間を見積ってスケジュールを逆算してみると、中間考査が終わったらそろそろ検証のタイミングを迎えるものが多いはずです。

生活と学習の習慣作りなどは、指導の効果が出るのが早いほど、その先の果実(=学習時間の延伸による学力の向上や、その結果としての「より高きを目指すチャレンジ意欲」の獲得など)も大きくなります。

早いタイミングでの成果を狙うべき指導については、中間考査を終えた頃にしっかりと効果を測定し、不足は夏休みを迎えるまでに補うくらいのつもりで進めていく必要があるはずです。


❏ 夏休みに生徒が取り組む活動へのレディネス整備

夏季休業期間中に生徒が取り組む活動にも様々なものがあるはずです。そこに向けた事前指導にもまた、効果を測定する機会と、効果に不足が見られた場合の補完指導に要する時間を確保すべきだと思います。

・3ヵ年/6ヵ年を見通した進路指導の中で

進路指導で言えば、大学のオープンキャンパスや研究室訪問などは夏休みに計画されていることが多いと思いますが、何の準備や心構え作りもなしに臨ませては、得るものが少ないばかりか弊害すら懸念されます。

大学訪問は、それまでに自分なりに調べたり考えたりしたことを「確かめる」ための機会にしないと、その場で受けた刺激が強く働き過ぎて、進路希望を作るまでの活動の配列を歪めてしまうリスクを抱えます。

事前の調べ学習の成果が十分か、訪問に際しての目的ははっきりしているかなどを、進路の手引きに組み込んだワークシートやポートフォリオへの記載を判断材料に、しっかりと点検して、足りないところは事前に補わせるべきです。

・探究活動/課題研究の有為な進捗のために

夏休みは、探究活動や課題研究といった、生徒が個々にチャレンジする学びを進めさせる絶好の期間でもあります。

きちんと活動を進められるだけの計画と準備ができているかを確かめないことには、貴重な夏休みを無為に過ごさせる羽目になりかねません。

夏の過ごし方いかんで、秋からの探究活動の進め方はまったく違ったものになります。指導計画を立てたときの想定通りに工程を踏ませられるかどうかは、1学期中の中間検証とその後の補完にかかります。

ここで挙げたのは2つの例に過ぎません。進路指導ならクラス担任や学年進路の先生、探究活動なら各ゼミを担当されている先生といった具合に、それぞれの立場において、夏を迎えるまでに完了させるべき指導があるはずです。大型連休が終わったこのタイミングでそれらの計画に見落としなどがないかしっかりと点検しておくべきだと思います。


❏ 生徒にロードマップ上の位置を認識させる仕掛け

中間検証は、ご指導に当たる先生方だけでなく、生徒自身にも目標に照らした自分の位置を認識させる必要があります。

自らの成長や好ましい変化に気づけば、さらに頑張ろうという意欲にもなりますし、足りないものに気づけば不足を埋めるために何をすれば良いか考えるきっかけにもなるはずです。

授業開きやガイダンスなどで生徒に伝えた「半年後、1年後に達成を期待すること」に照らして、生徒に自己点検をさせてみましょう。

満たすべき行動や姿勢の一つひとつを、生徒を主語にしたセンテンスに起こしてアンケート様式に仕立てれば、それに答えていく中で、生徒は生活、学習、進路の各領域のメタ認知を高めていくはずです。

如上の「アンケート」に答えた上で、これから3か月、半年の間、自分が何を目指してどう行動していくか考えさせ、その結果を文字に起こして記録させれば、さらに数ヶ月を経過したときに「あの時の決意に自分はどれだけ真摯になれたか」を振り返る際の「基準」も得られます。



学力向上などの「結果」については、1学期中に検証を行うには時期尚早に過ぎると思いますが、ものごとへの取り組み方、自分自身の未来への向き合い方といった姿勢や行動については、定期考査を1度経験したとき(=中間考査後)は振り返りの好機であろうと思います。

日々のご指導で多忙を極める中ですが、一つひとつの指導が所期の成果を得ているか/得られそうか、しっかり確かめながら指導を進めた方が指導目標の達成はより確実なものになるはずです。

緊急事態宣言などで教育活動の計画に変更を強いられる可能性が高まる今だからこそ、しっかりと(且つ、効率的に)中間検証を行い、目指すゴールに向けて正しく舵を切り直していくことが大切だと考えます。


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一